エンジンの動きを司るクランク角
車の心臓部である原動機は、燃料を燃やすことで活塞を上下に動かします。この上下運動を、車を走らせるための回転運動へと変換するのが、原動機の重要な役割です。そして、この回転運動の角度を測る基準となるのが、クランク角です。
原動機の中心には、クランク軸と呼ばれる回転軸が存在します。クランク角とは、このクランク軸の回転角度を表すものです。活塞はクランク軸と連動して上下運動を行うため、クランク角を測ることで、活塞の位置を正確に把握することができます。
クランク角の基準となるのは、活塞が筒の最上部に達した地点です。この地点を上死点と呼びます。上死点を基準として、クランク軸が時計の針と同じ方向、つまり右回りにどれだけ回転したかを度で表したものがクランク角です。たとえば、上死点から右回りに90度回転した場合は、クランク角は90度となります。
このクランク角は、原動機の様々な状態を把握するために欠かせない情報です。例えば、燃料を噴射する最適なタイミングや、点火プラグを作動させる最適なタイミングは、クランク角に基づいて緻密に制御されています。原動機の点検や修理においても、クランク角を正確に測定することは非常に重要です。
クランク角を理解することは、原動機の仕組みを理解する上で非常に重要です。原動機がどのように動力を生み出し、車を走らせているのかを知るための第一歩と言えるでしょう。