クリアコート

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車の生産

深みと輝き、5コート塗装の魅力

車の塗装は、何層にも塗料を重ねることで、色の美しさや車の耐久性を高めています。この塗料の層の数を「塗装回数」と呼び、一般的には3回、金属の粉を混ぜた塗料を使う場合は4回が主流です。それぞれの層には大切な役割があり、一番下の層は、車体と塗料をしっかりとくっつける役割を担います。この層がしっかりしていないと、塗料が剥がれやすくなってしまいます。 その上に塗られる中間層は、色の鮮やかさを引き出す役割を担います。この層があることで、色の深みが増し、美しい仕上がりになります。さらに、一番上の層は、太陽の光や雨風から車体を守る役割を担います。この層は、紫外線による劣化を防ぎ、塗装の色褪せを抑える効果があります。 金属の粉を混ぜた塗料を使う場合は、中間層の上に、金属の粉を含んだ塗料の層が加わります。この層が、キラキラとした独特の輝きを生み出します。そして、最後に透明な塗料の層を全体に塗ります。この層は、光沢感をさらに高めるだけでなく、下の層の塗料を保護し、傷や汚れから守る役割も果たします。 このように、車の塗装は、それぞれの層が重要な役割を担い、層を重ねることで美しい見た目と高い耐久性を実現しているのです。まるで職人が丁寧に塗り重ねる漆塗りのように、幾重にも塗料を重ねることで、深みのある色合いと、長く美しさを保つ塗装を作り出していると言えるでしょう。
車の生産

環境に優しい車の塗装:粉末クリアラッカー

粉末クリアラッカーは、粉末状の透明な塗料です。名前の通り、粉末状であることが大きな特徴です。一般的な塗料は液体ですが、粉末クリアラッカーは樹脂や可塑剤といった成分を粉末状にすることで、液体とは異なる性質を持ちます。 従来の液体の塗料を塗布する際は、薄めるためにシンナーなどの有機溶剤が必要でした。しかし、粉末クリアラッカーは薄め液を一切使いません。そのため、塗装工程でシンナーなどの有機溶剤が空気中に排出されることがなく、環境への負担を大きく減らすことができます。環境問題への関心が高まる中で、この特徴は製造業にとって大きな利点となります。 自動車の車体塗装では、美しい輝きを保つために、最後の工程で透明な塗膜を形成します。これをクリアコートと呼びます。このクリアコートに粉末クリアラッカーを使うことで、環境に優しい車の製造が可能となります。近年、自動車業界では、環境への影響を少なくすることが重要な課題となっています。その解決策の一つとして、粉末クリアラッカーは注目を集めています。 粉末クリアラッカーは、静電気の力を使って車体に塗布されます。負に帯電させた粉末塗料を、正に帯電させた車体に吹き付けることで、粉末が車体に吸着します。その後、加熱炉で焼き付けることで、粉末が溶けて均一な塗膜を形成します。この方法は、塗料の無駄を減らし、塗布効率を高めることにも繋がります。また、塗膜の耐久性が高いことも粉末クリアラッカーの利点です。傷や紫外線、酸性雨などから車体を守り、美しい輝きを長く保ちます。