クロスフロー

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エンジン

リバースフローエンジンの特性

自動車の心臓部であるエンジンには、様々な種類がありますが、その中で独特な構造を持つのがリバースフローエンジンです。このエンジンは、まるで川がUターンするように、吸気と排気が同じ側から入って出ていく流れになっています。一般的なエンジンでは、吸気と排気はエンジンの反対側から行われますが、リバースフローエンジンはシリンダーヘッドの同じ側に吸気ポートと排気ポートが並んで配置されているのが特徴です。 新鮮な空気と燃料が混ぜ合わされた混合気は、吸気ポートからシリンダー内へと吸い込まれます。シリンダー内で混合気が圧縮され、点火プラグによって爆発的に燃焼することで、ピストンが力強く押し出されます。この燃焼によって生じた排気ガスは、すぐ隣の排気ポートから排出されます。まるで吸気と排気が隣同士でバトンタッチをしているかのようです。この一連の動作により、エンジン内部のガスの流れは非常に単純で、入ってきて、燃えて、出ていくという一筆書きのような流れになります。 このUターン型の流れは、リバースフローエンジンの最も重要な特徴であり、効率的な燃焼を実現する上で大きな役割を果たしています。また、リバースフローエンジンでは、燃焼室の形状に楔形がよく用いられます。これは、吸気ポートと排気ポートを同じ側に配置する構造上、必然的に楔形となるためです。この楔形の燃焼室は、燃焼効率の向上に貢献するだけでなく、エンジンの小型化にも役立っています。リバースフローエンジンは、その独特な構造により、高い燃焼効率とコンパクトな設計を両立できる、優れたエンジンと言えるでしょう。
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クロスフロー:高性能エンジンの呼吸

自動車の心臓部である原動機は、空気と燃料を混ぜて燃やし、その力で動いています。この燃焼を効率良く行うためには、新鮮な空気を十分に取り込み、燃えカスである排気ガスを速やかに排出する必要があります。この空気と排気ガスの流れを吸排気と呼び、その流れを良くする工夫が原動機の性能を大きく左右します。 吸排気を効率良く行うための重要な技術の一つに、吸気と排気の道筋である吸排気口の配置方法があります。この配置方法には様々な種類がありますが、高性能な原動機でよく用いられるのが、左右に分けて配置する「クロスフロー」と呼ばれる方式です。 クロスフローとは、原動機の頭頂部にあるシリンダーヘッドを横から見た時、吸気口と排気口が左右反対側に配置されている状態を指します。例えば、吸気口が右側にある場合、排気口は左側にあるといった具合です。 この配置の利点は、空気の流れがシンプルになり、吸気と排気が干渉しにくくなることです。新鮮な空気を大量にシリンダー内に取り込み、燃焼後の排気ガスをスムーズに排出することができます。まるで人が息を吸って吐くように、原動機も効率良く呼吸することができるのです。 従来の「カウンターフロー」と呼ばれる方式では、吸気口と排気口が同じ側に並んで配置されていました。この方式では、排気ガスが排出される際に、新鮮な空気の流れを妨げてしまうことがありました。また、排気ガスの熱によってシリンダーヘッドの温度が上がりすぎるという問題もありました。クロスフローは、これらの問題を解決し、原動機の性能向上に大きく貢献していると言えます。