無限軌道:走破性の秘密
無限軌道、またの名を履帯とは、車輪の代わりに車両を動かす帯状の仕組みです。まるでベルトコンベアーのように、この帯がぐるぐると回転することで、車両は前にも後ろにも移動できます。この仕組みは、たくさんの小さな板状の部品(履板)が、鎖のように繋がってできています。一つ一つの履板は比較的小さいですが、それらが繋がって大きな面積を作ることで、地面全体に車両の重さを分散させることができます。
これが、ぬかるみや砂地、雪道など、柔らかい地面でも車両が沈み込みにくく、安定して走れる秘密です。普通の車輪だと、接地面が小さいため、柔らかい地面にめり込んでしまうことがありますが、無限軌道ならその心配がありません。また、デコボコした道や、急な坂道なども難なく走破できます。これは、無限軌道が地面をしっかりと捉え、大きな摩擦力を生み出すためです。
さらに、履板の形や素材を変えることで、様々な環境に適応できます。例えば、雪道では、幅の広い履板を使うことで接地面積をさらに大きくし、雪に沈み込むのを防ぎます。まるでスキー板のように、雪の上を滑らかに進むことができます。一方、岩場などでは、特殊な形をした履板を使うことで、しっかりと岩肌を捉え、滑ることなく進むことができます。まるで登山靴のように、しっかりと地面を掴むのです。このように、無限軌道は、履板を交換することで、どんな場所でも走れるように工夫されている、非常に優れた走行技術と言えるでしょう。