クローラー

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駆動系

無限軌道:走破性の秘密

無限軌道、またの名を履帯とは、車輪の代わりに車両を動かす帯状の仕組みです。まるでベルトコンベアーのように、この帯がぐるぐると回転することで、車両は前にも後ろにも移動できます。この仕組みは、たくさんの小さな板状の部品(履板)が、鎖のように繋がってできています。一つ一つの履板は比較的小さいですが、それらが繋がって大きな面積を作ることで、地面全体に車両の重さを分散させることができます。 これが、ぬかるみや砂地、雪道など、柔らかい地面でも車両が沈み込みにくく、安定して走れる秘密です。普通の車輪だと、接地面が小さいため、柔らかい地面にめり込んでしまうことがありますが、無限軌道ならその心配がありません。また、デコボコした道や、急な坂道なども難なく走破できます。これは、無限軌道が地面をしっかりと捉え、大きな摩擦力を生み出すためです。 さらに、履板の形や素材を変えることで、様々な環境に適応できます。例えば、雪道では、幅の広い履板を使うことで接地面積をさらに大きくし、雪に沈み込むのを防ぎます。まるでスキー板のように、雪の上を滑らかに進むことができます。一方、岩場などでは、特殊な形をした履板を使うことで、しっかりと岩肌を捉え、滑ることなく進むことができます。まるで登山靴のように、しっかりと地面を掴むのです。このように、無限軌道は、履板を交換することで、どんな場所でも走れるように工夫されている、非常に優れた走行技術と言えるでしょう。
車のタイプ

キャタピラー社の軌跡

農業や土木工事などの現場で活躍する建設機械の中で、整地や運搬作業に欠かせないのがトラクターです。初期のトラクターは車輪で動いていましたが、ぬかるんだ地面や起伏の激しい場所での走行には課題がありました。車輪は地面との接触面積が小さいため、軟弱な地盤では車輪が沈み込み、動けなくなってしまうことが頻繁にあったのです。 そこで登場したのが、無限軌道、いわゆるキャタピラーと呼ばれる機構です。これは、多数の小さな車輪を連結したベルト状の構造をしており、このベルトが地面に接することでトラクターを動かします。1904年、アメリカのホルト社が世界で初めてこの無限軌道式トラクターを開発しました。この画期的な発明は、それまでの農業や土木工事の方法を一変させるほどのインパクトをもたらしました。 無限軌道の最大の利点は、地面との接触面積が車輪に比べて格段に広いことです。接触面積が広いため、地面にかかる圧力が分散され、車輪のように地面に深く沈み込むことがありません。つまり、ぬかるみや砂地、起伏の激しい場所でも安定した走行が可能になるのです。また、無限軌道は地面をしっかりと捉えるため、傾斜地でも滑りにくく、力強い駆動力を生み出します。 この無限軌道の登場により、農作業や土木工事の効率は飛躍的に向上しました。これまで重労働だった作業が大幅に軽減され、人々の労働負担も大きく減りました。そして、これまで機械が入ることが難しかった場所でも作業が可能になったことで、農地の拡大や道路建設など、さまざまな分野で発展が加速しました。まさに、無限軌道の発明は、農業や土木工事における革命だったと言えるでしょう。