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エンジン

車の出力表示:正味と総出力の違い

総出力とは、自動車の心臓部である原動機が、理論上、部品の抵抗などを一切考えずに、どれだけ大きな力を発生させられるかを示す尺度です。いわば、原動機の潜在能力を測るものと言えるでしょう。原動機単体でどれだけの力を出せるかを評価する際には、非常に役立つ数値です。 この総出力を測る際には、原動機の働きを妨げる部品は全て取り外します。例えば、排気ガスを浄化する装置や、排気音を抑える装置、電気を生み出す装置、冷房装置の圧縮機などを取り外した状態で測定を行います。 これにより、原動機本来の性能を最大限に引き出すことができます。 この測定方法は、主に1970年代より前によく用いられていました。当時は、原動機そのものの性能を評価することが重要視されていたからです。しかし、この総出力という数値は、実際に車を走らせた時の性能とは大きく異なる場合があります。なぜなら、実際の走行状態では、様々な部品が原動機の力の一部を消費してしまうからです。 例えば、排気ガスを浄化したり、騒音を抑えたりするために、原動機の力は使われます。また、車内の快適性を保つための冷房装置や、ヘッドライトなどの電装品にも、原動機の力は使われています。つまり、総出力は原動機の潜在能力を示す数値ではありますが、実際に路上で車がどれだけの力を発揮できるかを知るには不十分です。そのため、消費者が車の性能を正しく理解するためには、総出力だけでなく、様々な条件下での性能を総合的に判断することが重要になります。