車の軽量化とグロースファクター
車は、たくさんの部品が集まってできています。走る、曲がる、止まるといった基本的な動作はもちろん、快適さや安全性を高めるための様々な機能も、たくさんの部品が力を合わせて実現しています。
車を作る上で、部品を軽くすることはとても大切です。軽い車は、少ない力で動かすことができるので、使う燃料を減らすことができます。つまり燃費が良くなるのです。また、軽い車は動き出しやスピードの変化が機敏になり、走る楽しさも増します。
部品を軽くするには、様々な方法があります。例えば、強いけれど軽い材料を使う、部品の形を工夫する、必要のない部分をなくす、といった方法です。しかし、ただ一つ一つの部品を軽くするだけでは、車全体を軽くすることには十分ではありません。部品と部品を組み合わせた時に、それぞれの部品がどのように影響し合うかを考えなければなりません。
例えば、ある部品を軽くするために、他の部品を補強する必要が生じたとします。補強によって重くなってしまっては、せっかく部品を軽くした意味がなくなってしまいます。また、ある部品を軽くしたことで、別の部分に大きな負担がかかり、壊れやすくなってしまうかもしれません。このようなことを避けるためには、車全体を一つのまとまりとして見て、部品同士の繋がりや影響を考慮しながら軽量化を進める必要があります。
ここで重要なのが「全体への影響の大きさ」という考え方です。これは「グロースファクター」と呼ばれるもので、ある部品を軽くした時に、車全体でどれだけの軽量化効果が得られるかを示すものです。例えば、ドアを1キログラム軽くしたとします。もし、全体も1キログラム軽くなれば、グロースファクターは1です。しかし、ドアを軽くしたことで車全体のバランスが悪くなり、他の部分を補強する必要が生じ、結果的に車全体は0.5キログラムしか軽くなかったとしましょう。この場合、グロースファクターは0.5となります。
車全体を軽くするためには、グロースファクターが大きい部分に注目して軽量化を進めることが効果的です。部品単体でどれだけ軽くなるかだけでなく、全体への影響も考えることで、効率的に軽量化を進めることができます。