ロータリーエンジンの心臓部、サイドシールの秘密
通常のピストンで動くエンジンとは違い、回転エンジンは三角形の形をした部品がくるくる回ることで力を生み出します。この独特な構造のおかげで、エンジンは小さく、大きな力が出せるという長所があります。しかし、変わった形であるがゆえの難しさも抱えています。
その一つが、燃料と空気を混ぜた混合気を燃やす部屋の密閉性を保つことです。三角形の部品が回る部屋の中をぐるぐる回るとき、部品と部屋の壁のわずかな隙間から、燃焼ガスが漏れてしまうことがあります。ガスが漏れてしまうと、エンジンの力は弱くなってしまいます。
そこで、このガス漏れを防ぐために大切な働きをするのが、サイドシールと呼ばれる部品です。サイドシールは、三角形の部品のそれぞれの角に取り付けられています。まるで、部屋の壁と三角形の部品の隙間を埋めるパッキンのような役割を果たします。
サイドシールは、常に高温・高圧の環境にさらされます。そのため、高い耐久性と耐熱性が求められます。材質には、特殊な金属やカーボンなどが用いられます。
回転エンジンは、その独特な構造から、滑らかな回転と静かな運転が特徴です。しかし、燃費の悪さや排気ガスの問題など、克服すべき課題も残されています。サイドシールをはじめとする様々な技術革新により、これらの課題が解決されれば、回転エンジンは再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。