サイリスター

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電気自動車の心臓部:チョッパー方式

電気自動車の速さを自在に操る仕組みは、モーターへと送られる電気の力の強さを変えることで実現します。この電気の力の調整を効率良く行うのが、「チョッパー方式」と呼ばれる技術です。まるで水道の蛇口を開け閉めするように、電気を断続的に流したり止めたりすることで、モーターに送られる電気の平均的な力を調整します。 具体的には、運転者がアクセルペダルを踏む量に応じて、電気を流す時間と止める時間の割合を細かく調整します。アクセルペダルを深く踏めば、電気が流れる時間が長くなり、モーターに送られる力が強くなります。逆に、アクセルペダルを浅く踏めば、電気が流れる時間が短くなり、モーターに送られる力が弱くなります。 この電気を流したり止めたりする動作は、「スイッチング」と呼ばれ、非常に速い速度で行われます。1秒間に何千回、何万回という速さでスイッチングを行うことで、モーターの回転は滑らかになり、加速や減速もスムーズになります。もし、スイッチングの速度が遅ければ、モーターの回転はぎこちなく、乗り心地も悪くなってしまうでしょう。 チョッパー方式は、電気自動車の快適な運転に欠かせない技術です。アクセルペダルの操作に対して、車がスムーズに反応し、思い通りの速さで走ることができるのは、このチョッパー方式のおかげです。まるで熟練の職人が巧みに道具を操るように、チョッパー方式は電気の流れを制御し、電気自動車の動きを自在に操ります。
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サイリスター:電気自動車の心臓部

半導体は、電気を流したり、止めたりする性質を持つ小さな部品で、電力の制御に欠かせない存在です。その中でも、サイリスターは複数のトランジスターの働きを併せ持つ、より高度な半導体です。トランジスター一つでは難しい、大きな電力を扱う機器の制御を可能にしています。 サイリスターは、電気を流す量を調整することで、電力を制御します。水道の蛇口をひねるように、電気の流れを調整できることから、電力制御の要として様々な機器で活用されています。例えば、電気を熱に変える電気ストーブや、電気を光に変える照明器具など、家庭にある多くの電化製品で活躍しています。温度調整や明るさ調整といった機能は、サイリスターが電力の流れを細かく制御することで実現しています。 さらに、サイリスターは電車や電気自動車などの大型の乗り物にも利用されています。電車の場合は、加速や減速を滑らかにするために、モーターに流れる電気を制御する必要があります。この制御をサイリスターが担うことで、乗客は快適な乗り心地を得られます。電気自動車では、ガソリン車のエンジンに相当するモーターの回転数を制御するために、サイリスターが重要な役割を果たしています。アクセルペダルを踏む強さに応じて、モーターに流れる電気を調整し、スムーズな加速と減速を可能にしています。 このように、サイリスターは家電製品から大型の移動手段まで、幅広い分野で電力の制御を担う、現代社会には欠かせない部品となっています。小型でありながら大きな電力を制御できるという特性は、省エネルギー化や機器の性能向上にも大きく貢献しており、今後の技術発展にも重要な役割を担っていくと考えられます。
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高効率電力変換:サイリスターインバーター

サイリスター変換装置は、直流の電気の流れを交流の電気の流れに変える機械で、たくさんの電気を使う場面で役立っています。この装置の中心となる部品がサイリスターという半導体スイッチです。サイリスターは、電気を流したり止めたりすることを素早く行うことができ、大きな電気も扱えるため、変換装置に最適です。 サイリスター変換装置の仕組みは、直流の電気を断続的に流すことで、方形波と呼ばれる角張った形の交流電気を作るというものです。一般的ななめらかな波形を持つ交流電気と比べて、この方形波は電圧と時間の積が大きくなる特徴があります。電圧と時間の積が大きいということは、同じ時間でより多くの電気エネルギーを伝えられることを意味します。つまり、限られた電気から、より多くの交流電気を作ることができるので、変換の効率が良いと言えるのです。 サイリスター変換装置は、電車や工場などの大きな電力を必要とする場所で活躍しています。例えば、電車のモーターを動かす際や、工場で大きな機械を動かす際に、直流の電気を交流に変換するために使われます。また、太陽光発電や風力発電などで作られた直流の電気を、家庭で使える交流の電気に変換するのにも役立っています。このように、サイリスター変換装置は、私たちの生活を支える様々な場面で重要な役割を担っているのです。