サポートゴム

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機能

静かな走りを実現する技術

車は、燃料を燃やすことで力を生み出し、走っています。この燃焼によって生まれる排気ガスは、非常に高い温度と圧力を持っています。そのままでは大気に放出できないため、排気管を通して温度を下げ、圧力を弱める必要があります。排気管は、いわば車の呼吸器のような役割を担っています。しかし、排気ガスが排気管を通る際に、どうしても音が発生してしまいます。これが排気音です。 排気音は、排気ガスが排気管の壁にぶつかったり、管の中で音が反響することで生まれます。音を出す笛を思い浮かべてみてください。笛の中に息を吹き込むと、笛の中の空気が振動して音が出ます。排気管もこれと同じように、排気ガスが流れることで内部の空気が振動し、音が発生するのです。エンジンの回転数が上がると、より多くの排気ガスが勢いよく排気管を通るため、音も大きくなります。また、車の速度が上がると、エンジンの回転数も上がるため、やはり排気音は大きくなります。 さらに、特定の条件下では、共振という現象が起こり、排気音が非常に大きくなることがあります。共振とは、ある物体が特定の振動数で揺れやすい性質を持つときに、その振動数と同じ振動が外部から加えられると、振動の幅が大きく増幅される現象です。ブランコを漕ぐとき、タイミングよく力を加えると、大きく揺らすことができます。これが共振です。排気管でも、排気ガスの脈動と排気管の持つ固有の振動数が一致すると、共振が起こり、大きな排気音が発生します。この共振による騒音を抑えることは、静かで快適な車を作る上で非常に重要な課題となっています。そのため、様々な工夫が排気管に施されています。例えば、排気管の中に小さな部屋のような構造を設けたり、吸音材を用いたりすることで、共振を抑え、静かな排気音を実現しています。
車の構造

隠れた支え役:直交タイプサポートゴム

車の心臓部である発動機から出る廃気を処理し、音を小さくする大切な部品である排気管。通称、消音器とも呼ばれるこの部品は、様々な大きさや重さがあり、走行中の振動や熱による伸び縮みといった変化に耐える必要があります。そこで、排気管を車体に固定する際に重要な役割を果たすのが、ゴム製の部品である支持ゴムです。 従来の支持ゴムは、排気管を下向きに支える構造が多く、消音器が車体後部から見えやすい状態でした。これは、排気管の自重を利用して安定させるという合理的な方法でした。しかし、近年の車の外観デザインにおいては、消音器を目立たせないようにすることが流行となっています。そのため、排気管を上向きに支える、新しい支持ゴムが必要とされてきました。 上向きの支持は、重力に逆らうため、従来よりも高い強度と耐久性が求められます。また、ただ支えるだけでなく、路面の凹凸や発動機からの振動を吸収する柔軟性も必要です。熱による伸び縮みにも対応できるよう、特殊なゴム素材や構造が採用されています。 新しい支持ゴムは、これらの課題を解決するために、複数の層構造や内部に空洞を設けるなどの工夫が凝らされています。これにより、排気管をしっかりと固定しつつ、振動や熱の影響を最小限に抑えることが可能となりました。結果として、車体後部から消音器が見えにくくなり、すっきりとした外観を実現できるようになりました。また、支持ゴムの改良は、排気管の寿命を延ばし、騒音を低減することにも繋がっています。今後の車の設計において、支持ゴムは、小さな部品ながらも重要な役割を担っていくでしょう。