透けて見える車の模型:シースルーモデル
車の開発や設計には、様々な模型が用いられます。大きく分けると、形状確認のための模型、走行性能を検証するための模型、そしてデザイン評価のための模型があります。
形状確認に用いる模型は、主に設計図面の正確さを確かめるために作られます。部品同士が正しく組み合わさるかどうか、部品の大きさや形に誤りがないかなどを細かく確認します。近年では、3次元設計図面を用いてコンピューター上で確認することが主流ですが、実物を使った確認も依然として重要です。
走行性能を検証するための模型には、風洞実験に用いるものなどがあります。風の流れを可視化し、空気抵抗や揚力などを計測することで、燃費向上や走行安定性の改善に役立てられます。これらの模型は、実車の形状を縮小したものが多く、素材には軽量な樹脂などが用いられます。
デザイン評価のための模型の一つに、シースルーモデルがあります。これは、外装だけでなく内装のデザインも評価するために作られる特殊な模型です。窓部分を透明な素材で再現することで、車内を見通せるように設計されており、乗員の視界や車内空間の広がりなどを確認することができます。実物大で製作されることが多く、実車に近い印象を与えます。また、クレイモデルと呼ばれる粘土でできた模型もデザイン評価に用いられます。これは、実物大で作成され、デザイナーが粘土を削ったり盛り付けたりすることで、造形を微調整していくことができます。シースルーモデルとは異なり、車内の様子は確認できませんが、実車のサイズ感や曲面を手で触れて確認できるため、デザインの完成度を高める上で重要な役割を果たします。このように、模型の種類によって目的や用途が異なり、それぞれが車の開発に欠かせない役割を担っています。