ジープ

記事数:(2)

駆動系

前後輪のロック機構

車は、前後左右に4つの車輪がついています。左右の車輪は、通常、車軸と呼ばれる棒で繋がれており、回転する力を伝える装置、差動歯車装置がついています。この装置は、左右の車輪の回転速度に差が生じた場合、その差を吸収する働きをします。例えば、カーブを曲がるとき、外側の車輪は内側の車輪よりも長い距離を進む必要があるので、外側の車輪は内側の車輪より速く回転しなければなりません。差動歯車装置は、左右それぞれの車輪に必要な回転速度に合わせて、動力を分配するのです。 しかし、片方の車輪が、ぬかるみや凍結路面などの滑りやすい場所にはまってしまった場合、従来の差動歯車装置では、動力は抵抗の少ない、つまり滑りやすい方の車輪に集中してしまいます。そのため、グリップしている側の車輪には動力が伝わらず、車は動けなくなってしまいます。 そこで、今回ご紹介する機構は、左右の車輪の回転速度の違いを感知し、滑りやすい路面で空転している車輪にブレーキをかけつつ、グリップしている車輪により多くの動力を送るという仕組みです。これは、ダイムラークライスラー社のジープの前後の差動歯車装置に搭載されています。 この機構によって、片方の車輪が滑りやすい場所にはまってしまっても、もう片方のグリップしている車輪に動力を集中させることができるので、脱出することが可能になります。これは、オフロード、つまり舗装されていない道路を走行する際に、非常に有効です。 さらに、この機構は、オフロード走行だけでなく、通常の舗装路を走行する際にも効果を発揮します。例えば、雨で濡れた路面や凍結路面など、滑りやすい状況でカーブを曲がるとき、車輪の空転を抑え、より安定した走行を可能にするのです。このように、回転速度を感知し、左右の車輪への動力の配分を適切に制御することで、あらゆる路面状況で、車の走破性と走行安定性を向上させる、大変優れた機構と言えるでしょう。
内装

クルマの排水穴:ドレーンホールの役割

自動車の床面には、排水のための小さな穴が設けられています。これは排水穴と呼ばれ、普段は意識されることは少ないかもしれません。しかし、この小さな穴は、自動車の快適さと耐久性を維持する上で非常に重要な役割を果たしているのです。 雨の日の走行や洗車の際、どうしても車内に水が浸入してしまうことがあります。もし車内に侵入した水がそのまま放置されると、湿気がこもり、カビやサビの原因となってしまいます。排水穴は、これらの水を速やかに車外へ排出することで、車内を清潔で乾燥した状態に保ち、カビやサビの発生を抑制する働きをしています。 また、アウトドアを楽しむ人にとって、川やぬかるみを走行することはよくあるでしょう。このような場面では、どうしても車内に水が浸入しやすくなります。しかし、排水穴があれば、車内に浸入した水を速やかに排出することができ、電気系統の故障などのリスクを軽減できます。 排水穴は、車種によってその数や位置が異なります。一般的には、ドアの下部や床面、トランクなどに設けられています。これらの排水穴は、通常ゴム製の栓や弁で覆われているため、ゴミや異物が詰まるのを防いでいます。しかし、長年の使用や走行環境によっては、これらの栓や弁が劣化したり、落ち葉や泥などが詰まってしまうこともあります。排水穴が詰まると、水がスムーズに排出されなくなり、車内に水が溜まってしまう可能性があります。そのため、定期的に排水穴の状態を確認し、必要に応じて清掃を行うことが大切です。 一見すると小さな穴に過ぎない排水穴ですが、自動車の快適性と耐久性を維持する上で、重要な役割を担っています。定期的な点検と清掃を心掛け、快適なカーライフを送りましょう。