車の見栄えを良くするスウェジ
車の外板に見られる、帯状の盛り上がり、いわゆる飾りひもは、単なる装飾ではなく、様々な役割を担っています。飾りひもは、正式には「スウェジ」と呼ばれ、金属板をプレス加工することで作られます。まるでひもで締め付けたように見えることから、飾りひもという俗称で呼ばれることもあります。
まず、飾りひもは、車の見た目を向上させる効果があります。のっぺりとした外板に比べて、飾りひもがあることで、光の反射に変化が生じ、車体の輪郭が強調され、立体感が増します。そのため、飾りひもは、車に高級感や躍動感を与える重要な要素となっています。車種によっては、この飾りひもをデザインのアクセントとして効果的に使い、個性を演出している場合もあります。例えば、高級車では、繊細で優美な曲線の飾りひもが多く用いられる一方、スポーツカーでは、力強く鋭い直線の飾りひもが用いられる傾向があります。
さらに、飾りひもには、車体の強度を高めるという重要な役割もあります。薄い金属板をプレス加工して飾りひもを形成することで、外板の強度が増し、変形しにくくなります。これは、まるで薄い紙を折り曲げることで強度が増すのと同じ原理です。特に、ドアやボンネットなどの比較的広い面積を持つ外板では、飾りひもによる強度向上効果が大きく、車体の安全性向上にも貢献しています。
このように、一見すると小さな装飾に過ぎないように見える飾りひもですが、実は車の見た目と安全性の両方に大きく貢献しているのです。飾りひもの形や配置は、設計者の意図や車のコンセプトに合わせて綿密に設計されており、小さな飾りひもにも、様々な工夫や役割が込められています。