車の心臓部、スターターリレーの役割
車を動かすには、まずエンジンをかけなければなりません。 エンジンをかける動作を始動といい、この始動には複雑な仕組みが関わっています。
皆様がよくご存じの、かぎを回してエンジンをかける方法を例に説明しましょう。かぎを回すと、まず始動装置を作動させるための部品に少量の電気が流れます。この部品を始動継電器といいます。始動継電器は、いわば電気を増幅させるスイッチのような役割を果たします。
始動継電器に電気が流れると、内部の磁石が動きます。磁石の力で接点がくっつき、大きな電気が流れる道筋ができます。この道筋を通って、大きな電気が電池から始動電動機へと流れます。始動電動機は、電気の力で回転する電動機の一種です。この回転の力によってエンジンが動き始め、車は走り出す準備を整えることができます。
始動電動機は多くの電気を必要とします。もし始動継電器がないと、かぎを回した瞬間に、かぎから大きな電気が直接始動電動機に流れなければなりません。かぎや配線を太く頑丈にしなければならず、大変な手間がかかります。しかし始動継電器を用いることで、かぎには少量の電気だけを流せば済むようになります。
このように、始動継電器は、少量の電気で大きな電気を制御する、小さな部品でありながら重要な役割を果たしています。かぎをひねるという簡単な動作の裏側には、このような電気の流れと機械仕掛けが隠されているのです。
実は、かぎを使わずにボタンで始動する車もあります。この場合も仕組みはほぼ同じで、ボタンを押すと始動継電器に電気が流れ、その後の流れは変わりません。いずれにしても、始動継電器はエンジンの始動になくてはならない、縁の下の力持ちと言えるでしょう。