スターターモーター

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駆動系

力強い走り:直流直巻きモーター

車は、様々な部品が組み合わさって動いています。その中で、動力を生み出す重要な部品の一つに、直流直巻き原動機と呼ばれるものがあります。これは電気を動力に変換する装置で、構造を理解すると、その力強さの秘密が見えてきます。 直流直巻き原動機は、大きく分けて固定子と回転子という二つの部分からできています。固定子は動かない部分で、回転子は回る部分です。それぞれにコイルと呼ばれる銅線が巻かれており、これらを固定子巻線、回転子巻線と呼びます。直流直巻き原動機の特徴は、この固定子巻線と回転子巻線が直列につながっている点にあります。直列に繋がることで、同じ電流が両方の巻線を流れます。電流が流れると、巻線は磁石のような性質を持つようになり、磁界と呼ばれる目に見えない力が発生します。 固定子巻線によって作られた磁界の中で、回転子巻線にも電流が流れると、回転子は磁力を持ちます。この回転子の磁力と固定子の磁界が、まるで磁石の反発や引き寄せ合う力のように作用し合い、回転子が力強く回り始めます。 直流直巻き原動機の大きな特徴は、負荷が大きくなるとトルクが増大する点です。トルクとは回転させる力のことです。例えば、急な坂道を登る時や、重い荷物を積んで発進する時など、大きな力が必要な場面を想像してみてください。このような時、原動機にかかる負荷は大きくなります。負荷が大きくなると、回転子の回転速度は遅くなります。すると、回転子に流れる電流が増加します。直流直巻き原動機では固定子巻線と回転子巻線が直列につながっているため、回転子に流れる電流が増えると、固定子巻線にも同じように電流が増えます。その結果、固定子巻線の磁界も強くなります。回転子の磁力と固定子の磁界が共に強くなることで、トルクが増大し、大きな力を生み出すことができるのです。 このように、直流直巻き原動機は、必要な時に大きな力を発揮できる、頼もしい動力源なのです。
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快適な始動のために:クランキング振動を抑える

車を走らせるためにエンジンをかける時、時々ブルブルと車体が揺れることがあります。これは始動時の振動と呼ばれ、エンジンが動き出すまでの短い時間に起こる現象です。この振動は、ただ不快なだけでなく、車にも負担をかけてしまうことがあります。始動時の振動の主な原因は、エンジンの内部にあるピストンの動きです。ピストンはエンジンの中で上下に動いて、空気と燃料を混ぜた混合気を圧縮し、爆発させて動力を生み出します。この混合気を圧縮する時に大きな力が発生し、その力が振動となって車体に伝わってしまうのです。特にエンジンをかけた直後は、エンジンの回転数が低いため、この振動がより大きく感じられます。まるで、長い眠りから目覚めたばかりで、大きく伸びをしているかのようです。 この始動時の振動は、いくつかの要因が重なって大きくなることがあります。例えば、エンジンの土台となるエンジンマウントの劣化です。エンジンマウントは、エンジンから車体への振動の伝わりを抑える役割を果たしていますが、古くなるとゴムが硬化したりひび割れたりして、振動を吸収する力が弱くなってしまいます。また、スパークプラグの状態も振動に影響します。スパークプラグは混合気に点火するための部品ですが、汚れたり劣化していると、点火がうまくいかず、エンジンの回転が不安定になり、振動が大きくなることがあります。さらに、バッテリーの電圧が低いと、エンジンを力強く始動させることができず、これも振動の原因となります。 この始動時の振動を小さくするためには、定期的な点検と整備が重要です。エンジンマウントの状態をチェックし、劣化している場合は交換が必要です。スパークプラグも定期的に清掃または交換し、バッテリーの電圧も確認しておくことが大切です。これらの部品を適切に管理することで、始動時の振動を抑え、快適な運転と車の寿命を延ばすことに繋がります。まるで、毎日元気に体操をしているかのように、車は快調に走り続けることができるでしょう。
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車の心臓部、エンジンの回転力:クランキングトルクを理解する

車を走らせるためには、まずエンジンをかけなければなりません。エンジンを始動させる、つまり動かすためには回転させる力が必要です。この力を回転力、すなわちトルクと呼びます。 エンジンは静止した状態から動きを始めますが、この時に必要なトルクを起動トルクといいます。起動トルクは、エンジンが動き出す最初の回転を可能にするために必要な力で、エンジンの始動のしやすさに直接関係します。例えるなら、重い扉を開ける時に最初のひと押しで大きな力が必要なのと同じです。ひとたび動き出せば、その後はそれほど大きな力は必要ありません。 では、この起動トルクの大きさはどのように決まるのでしょうか?エンジン内部には、ピストンやクランクシャフトなどの様々な部品が存在します。これらの部品同士が擦れ合うことで抵抗が生まれます。また、エンジンが始動する際には、シリンダー内で燃料と空気が混合された混合気が圧縮されます。この圧縮された混合気の圧力も、起動トルクに影響を与えます。これらの内部抵抗や混合気の圧力が大きいほど、エンジンを動かすために必要な起動トルクは大きくなります。 エンジンが始動して動き始めると、必要なトルクは起動トルクに比べて小さくなります。これは、動き始めた物体は動き続ける方が容易であるという物理の法則と同じです。最初の起動トルクさえあれば、その後は小さなトルクでエンジンを回転させ続けることができます。 この起動トルクを発生させるのがスターターモーター(始動電動機)です。スターターモーターは、バッテリーからの電力を使って回転し、エンジンを始動させます。必要な起動トルクの大きさは、スターターモーターの性能を決める重要な要素となります。起動トルクが大きければ大きいほど、強力なスターターモーターが必要になります。
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車の心臓を守る、小さな部品の大きな役割

車を走らせるには、まずエンジンをかけなければなりません。 エンジンをかけるには、鍵を回したり、ボタンを押したりします。すると、「キュルキュル」という音が聞こえてきます。これは、始動装置がエンジンを回そうと頑張っている音です。始動装置は、エンジンが自分で回れるようになるまで、最初の力を与える大切な役割をしています。 この始動装置を動かすには、電気が必要です。鍵を回す、またはボタンを押すと、バッテリーから電気が流れ、始動装置の中のモーターが回転を始めます。このモーターの回転は、ピニオンギアという歯車を通してエンジンに伝わります。ピニオンギアは、エンジンの回転を助ける大きな歯車(リングギア)とかみ合っていて、始動装置がエンジンを直接回せるようになっています。 エンジンがかかると、今度はエンジン自身が回転を始めます。すると、エンジンの回転数は始動装置の回転数よりもはるかに速くなります。もし、この高速回転がそのまま始動装置に伝わってしまうと、始動装置が壊れてしまいます。これを防ぐために、始動装置には「逆回転防止つめ」という小さな部品が組み込まれています。 この「逆回転防止つめ」は、一方向にしか回転しない特殊な仕組みになっています。始動装置がエンジンを回す方向には回転しますが、エンジンが始動して回転数が上がった時に、エンジン側から始動装置に回転が伝わろうとすると、「逆回転防止つめ」が回転を遮断します。これにより、始動装置はエンジンの高速回転から守られ、壊れることなく役割を終えることができます。まるで、自転車のペダルのように、ペダルを漕げば自転車は進みますが、自転車が進むとペダルは空回りするのと同じ仕組みです。 このように、小さな部品である「逆回転防止つめ」は、始動装置を守る重要な役割を果たし、私たちがスムーズに車を使うために欠かせない存在なのです。
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懐かしの始動ハンドル

車を走らせるには、まずエンジンを始動させる必要があります。今の車はボタン一つでエンジンが始動しますが、昔の車にはそのような便利な仕組みはありませんでした。多くの車は、始動ハンドルと呼ばれる道具を使ってエンジンをかけていました。これは、人力でエンジン内部の部品を動かし、エンジンを始動させるための道具です。 エンジンの中には、ピストンと呼ばれる上下に動く部品があります。このピストンの動きが、最終的に車のタイヤを回転させる力へと変換されます。今の車は、電池と起動電動機を使ってピストンを動かしますが、昔の車にはこの仕組みがありませんでした。そこで、始動ハンドルを使って、人の力で直接ピストンを動かしていたのです。 始動ハンドルは、曲がった棒状の形をしています。このハンドルを、エンジンの回転軸である曲がり軸に差し込みます。この曲がり軸は、ピストンと連動しており、軸を回転させるとピストンも上下に動き始めます。ハンドルを勢いよく回すと、曲がり軸が回転し、ピストンが動き、エンジンが始動するのです。 まるで、ぜんまい仕掛けのおもちゃのねじを巻くように、人力でエンジンの最初の回転力を生み出していたのです。しかし、この始動ハンドルは、使い方を誤ると危険な道具でもありました。勢いよく回転するハンドルに手を巻き込まれたり、エンジンが逆回転してハンドルが跳ね返ってきたりする事故も少なくありませんでした。そのため、安全な始動電動機が開発されると、始動ハンドルは姿を消していきました。今では、博物館などで昔の車を見かける際に、その一部として見ることができるくらいです。
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車の心臓部、エンジンの始動トルクを解説

車を動かすには、まずエンジンをかけなければなりません。エンジンをかける、つまり始動させるには、エンジン内部の部品を回転させる力が必要です。この力を始動トルクといいます。 始動トルクは、ちょうど固く閉じた扉を開ける時の力と似ています。軽い扉なら少しの力で済みますが、重い扉を開けるには大きな力が必要です。同じように、エンジン内部の部品が動きにくい状態だと、大きな始動トルクが必要になります。このトルクの大きさは、ニュートンメートル(記号はN・m)という単位で表されます。この数字が大きいほど、強い回転力を出せるということです。 エンジンの中には、ピストンという上下に動く部品や、クランクシャフトという回転する部品など、様々な部品があります。これらの部品は、静止状態から動き出す時に抵抗を生み出します。始動トルクは、この抵抗に打ち勝ってエンジンを回転させるために必要な力なのです。 もし始動トルクが不足していると、エンジンは回転を始められません。これは、重い扉を押しても開かないのと同じです。十分な始動トルクがあれば、エンジン内部の部品がスムーズに動き出し、車は走り始めることができます。 始動トルクは、エンジンの種類や大きさ、構造などによって異なります。一般的に、大きなエンジンや、寒い時期には、より大きな始動トルクが必要になります。これは、大きなエンジンは内部の部品も大きく、動かすのが大変だからです。また、寒い時期はエンジンオイルが固まりやすく、抵抗が大きくなるため、より大きな力が必要となるのです。 始動トルクが適切であれば、エンジンはスムーズに始動し、快適な運転を楽しむことができます。
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車の心臓、セルモーター:エンジンの始動を支える

車は、自らの力だけでは動き出すことができません。人間で例えるなら、ぐっすり眠っている状態です。目を覚まして活動するには、誰かに起こしてもらう必要があります。車の場合、この「起こす」役割を担うのが始動装置です。 始動装置の心臓部には、電動機と呼ばれる部品が備わっています。この電動機は、車の蓄電池に蓄えられた電気の力を利用して回転する仕組みになっています。ちょうど、扇風機に電気を送ると羽根が回るように、蓄電池から電動機に電気が流れると、勢いよく回転を始めます。 この回転運動が、原動機を目覚めさせる第一歩となります。原動機内部には、上下に動く活塞と呼ばれる部品があります。電動機の回転は、この活塞を押し下げる力を生み出し、原動機全体を回転させるのです。まるで、ブランコを漕ぎ始める時、最初に地面を蹴るように、最初のひと押しを与えているわけです。 私たちが普段何気なく行っている車の始動操作、鍵を回すだけでエンジンがかかる裏側には、このような複雑な仕組みが隠されています。電動機のおかげで、私たちはスムーズに車を走らせることができるのです。毎日の運転で、この小さな部品の働きに思いを馳せてみるのも良いかもしれません。 蓄電池の電気が不足すると、電動機を回すことができなくなり、エンジンが始動しなくなります。これは、まるで目覚まし時計の電池が切れて、朝起きられないのと同じです。ですから、日頃から蓄電池の状態を確認し、適切な管理を心掛けることが大切です。
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車の心臓部、エンジンの始動回転数の秘密

車を走らせるには、まずエンジンをかけなければなりません。エンジンをかける、つまり始動させるためには、エンジンをある程度の速さで回転させる必要があります。この速さを始動回転数と呼び、エンジン内部のピストンという部品が上下に動くことで動力が生まれます。しかし、ピストンは自力では動き始めることができません。ちょうど自転車のペダルを漕ぎ始める時に、誰かに少し押してもらったり、地面を蹴って勢いをつける必要があるのと同じです。 エンジンを始動回転数まで回転させるために必要なのが、スターターモーターという部品です。スターターモーターは、車のバッテリーに蓄えられた電気の力を使って回転運動を作り出します。この回転運動が、エンジン内部の歯車と噛み合うことで、ピストンを上下に動かし始めます。自転車で誰かにペダルを踏むのを手伝ってもらうようなものですね。 スターターモーターによってエンジンが始動回転数に達すると、エンジン内部では燃料と空気が混ぜ合わされた混合気が爆発します。この爆発の力がピストンをさらに強く押し下げ、エンジンは自力で回転を続けることができるようになります。ちょうど自転車で十分な速度に達すると、ペダルを漕ぎ続けなくても走り続けられるのと同じです。これが、私たちが普段何気なく行っているエンジン始動の仕組みです。小さなスターターモーターの働きによって、大きなエンジンが目覚める、とても重要な役割を担っているのです。
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車の心臓部、クランキングを学ぶ

車を走らせるには、まずエンジンをかけなければなりません。そのために必要なのが「始動」と呼ばれる工程です。この工程は、自転車のペダルを漕ぎ始める時の最初のひと蹴りのようなもので、エンジンを動かすための最初の回転運動を作り出します。この最初の回転運動を「クランキング」と呼びます。 クランキングは、エンジン内部にある「クランク軸」という部品を回転させることで行われます。このクランク軸は、エンジンの動力源となる燃焼室で発生した力を回転運動に変換し、タイヤに伝える役割を担っています。 では、どのようにしてクランク軸を回転させるのでしょうか?その役割を担っているのが「始動電動機」です。始動電動機は、車のバッテリーから電気を受け取り、その電気エネルギーを回転エネルギーに変換する装置です。スイッチを入れると、始動電動機は勢いよく回転し、歯車を通じてクランク軸に接続されます。これによってクランク軸が回転し始め、エンジンが始動へと向かいます。 始動電動機は、大きな力を必要とするクランク軸を回転させるため、多くの電力を消費します。そのため、バッテリーの状態が悪いと、始動電動機が十分な力を発揮できず、エンジンがかからないことがあります。これは、まるで疲れた体で重い荷物を持ち上げられないのと同じような状態です。 このように、クランキングは、エンジンを始動させるための重要な第一歩であり、始動電動機、バッテリー、クランク軸といった部品が連携して行われる精密な作業です。普段何気なく行っているエンジンの始動も、実は複雑な仕組みによって支えられているのです。