スプロケット

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駆動系

歯車の精度を示すオーバーピン径

歯車を作る上で、歯の大きさがきちんと作られているかはとても大切です。歯の大きさを確かめる方法の一つに、「基準となる丸棒径」という寸法を測るやり方があります。この丸棒径のことを「オーバーピン径」と呼びます。 このオーバーピン径を測るには、まず決められた太さの丸い棒を用意します。この棒は、測る歯車の大きさに合わせて太さが決められています。そして、この棒を歯と歯の間に差し込みます。ちょうど歯の谷の部分に丸棒が乗るように置くわけです。 次に、向かい合う歯にも同じように丸棒を置きます。そして、置いた二本の丸棒の外側同士の距離を測ります。これがオーバーピン径です。 このオーバーピン径は、歯車の設計図に描かれた歯の大きさ(ピッチ円)が正しく作られているかを確認するために使われます。ピッチ円とは、歯車が回転した時に描く円のことで、歯車の大きさを表す基本的な寸法です。もし、オーバーピン径が設計図の値と違っていたら、歯と歯のかみ合わせが悪くなってしまうかもしれません。かみ合わせが悪いと、歯車がスムーズに回らなくなったり、大きな音が発生したり、最悪の場合は歯車が壊れてしまうこともあります。 ですから、歯車を作る際には、オーバーピン径を精密に測り、設計図の値とのずれを極めて小さくすることが欠かせません。この値が、歯車の正確さを保証する上で、非常に大事な要素の一つと言えるでしょう。
エンジン

エンジンの心臓部、クランクシャフトスプロケット

車は、路面を駆けるために様々な部品が組み合わさって動いています。その中でも動力の源である発動機を動かす重要な部品の一つが、歯車の一種であるクランク軸歯車です。この部品は、発動機の動力を伝える要と言えるでしょう。 発動機の中心には、クランク軸と呼ばれる太い軸があります。この軸は、ピストンが上下する動きを回転運動に変える重要な役割を担っています。クランク軸歯車は、このクランク軸の先端にしっかりと取り付けられています。そして、クランク軸が回転すると、それに連動してクランク軸歯車も回転を始めます。 クランク軸歯車は、単独で仕事をしているわけではありません。すぐ近くにある別の歯車、カム軸歯車と噛み合っています。カム軸歯車は、吸気と排気のタイミングを制御するバルブの開閉を担うカム軸を動かしています。クランク軸歯車が回転することで、カム軸歯車も回転し、正確なタイミングでバルブを開閉させるのです。 さらに、燃料噴射装置もこのクランク軸歯車の回転と連動しています。適切な量の燃料を、適切なタイミングで燃焼室に送り込むことで、発動機は効率よく動力を生み出すことができます。クランク軸歯車のような小さな部品が、燃料の供給から吸気、排気まで、一連の動作を正確に制御しているからこそ、車はスムーズに走り続けることができるのです。 このように、クランク軸歯車は、発動機の回転運動を他の重要な部品に伝える、まさに縁の下の力持ちです。一見小さな部品ですが、その役割は非常に大きく、車の動力伝達においてなくてはならない存在と言えるでしょう。
駆動系

四輪駆動車の動力伝達を支えるドリブンスプロケット

車は、エンジンが生み出す力をタイヤに伝えて走ります。四輪駆動車は、その名の通り四つのタイヤすべてに動力を伝えることで、力強い走りを可能にしています。この四つのタイヤに動力を分配する装置を分動装置と呼びます。分動装置には歯車を使うものと鎖を使うものがあり、鎖を使う方式で重要な役割を担うのが、今回紹介する被駆動鎖歯車です。被駆動鎖歯車は、回転する歯車の一種で、鎖を巻き付けることで回転する力を伝えます。名前の通り、駆動する側ではなく、駆動される側の鎖歯車です。では、どこから動力を受けているのでしょうか。それは、駆動鎖歯車と呼ばれるもう一つの鎖歯車からです。エンジンからの動力は、まず駆動鎖歯車に伝わります。そして、駆動鎖歯車は鎖を介して被駆動鎖歯車を回転させます。被駆動鎖歯車は、前輪駆動軸に繋がっていて、回転することで前輪に動力を伝えます。このように、被駆動鎖歯車は、エンジンからの動力を前輪に伝えるための、いわば中継地点のような役割を果たしているのです。分動装置には、前輪と後輪のどちらにどれだけの動力を配分するかを切り替える機能を持つものもあります。例えば、通常走行時は後輪駆動で燃費を良くし、滑りやすい路面では四輪駆動に切り替えて走破性を高めるといった具合です。このような切り替え機構を持つ分動装置においても、被駆動鎖歯車は重要な役割を担っています。状況に応じて前輪への動力の伝達を制御することで、様々な路面状況に対応した走りを可能にしているのです。近年では電子制御技術の進歩により、より緻密な制御が実現されており、四輪駆動車の走破性と安定性はますます向上しています。被駆動鎖歯車は、こうした技術の進化を支える、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
駆動系

駆動の要、ドリブンギヤ:その役割と仕組み

くるまを動かすためには、エンジンの力をタイヤに伝える必要があります。そのために、さまざまな部品が組み合わさって働いていますが、その中で重要な役割を担うのが歯車です。歯車は、かみ合うことで回転の力を伝える部品で、動力の送り手となる歯車を駆動歯車、受け手となる歯車を従動歯車と呼びます。この従動歯車が、今回の主題であるドリブンギヤにあたります。 ドリブンギヤは、ただ単に駆動歯車から回転の力を受け取るだけではありません。回転の速さと力の大きさを変える役割も担っています。たとえば、大きな歯車と小さな歯車を組み合わせた場合を考えてみましょう。小さな歯車(駆動歯車)が大きな歯車(従動歯車)を回すと、大きな歯車はゆっくり回転しますが、大きな力を生み出します。逆に、大きな歯車(駆動歯車)が小さな歯車(従動歯車)を回すと、小さな歯車は速く回転しますが、力は小さくなります。 この力の大きさをトルクと言います。ドリブンギヤの歯数を駆動歯車より多くすることで、回転速度は遅くなりますが、トルクは大きくなります。つまり、ゆっくりと力強く回転するようになります。逆に、ドリブンギヤの歯数を駆動歯車より少なくすると、回転速度は速くなりますが、トルクは小さくなります。すなわち、速く回転するものの、力は弱くなります。 くるまを走らせる状況に応じて、必要な回転速度とトルクは変化します。例えば、発進時や坂道を登る時は大きな力が必要なので、トルクを大きくする必要があります。一方、高速で走る時は、速い回転速度が求められます。ドリブンギヤは、このような状況に応じて、歯車の組み合わせを変えることで、最適な回転速度とトルクを実現し、くるまの円滑な走行を助けているのです。まさに、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
駆動系

スプロケット:エンジンの隠れた立役者

くるまを動かすための、なくてはならない部品、それが動力伝達装置です。その中でも、鎖車(くさりぐるま)は、回転する力を伝える歯車の仲間で、鎖や歯のついた帯を使って動力を伝えています。自転車の変速機や自動二輪車の駆動装置など、私たちの身近なところで活躍する部品です。 鎖車は、様々な大きさや歯の数を持つ部品です。小さなものから大きなものまであり、歯の数を変えることで、回転する速さの割合を調整できます。この割合のことを回転比と言い、回転比を変えることが鎖車の重要な役割です。 例えば、エンジンの内部で使われる鎖車は、回転運動を滑らかに伝えることで、エンジンの性能に大きく影響します。吸気と排気のタイミングを調整する、カム軸(カムじく)という部品を動かす鎖車は、エンジンの力強さを左右する重要な部品と言えるでしょう。 また、建設機械や農業機械など、大きな力が必要な機械にも鎖車は使われています。これらの機械では、大きな力を正確に伝えるために、頑丈な鎖車が必要です。大きな歯車と鎖を組み合わせることで、大きな荷物を持ち上げたり、土を掘ったりする大きな力を生み出します。 このように、鎖車は、回転する力を伝える、なくてはならない部品です。小さなものから大きなものまで、様々な大きさや歯数があり、それぞれに合った使い道があります。私たちの生活を支える多くの機械の中で、鎖車は縁の下の力持ちとして活躍しているのです。
駆動系

リヤスプロケット:駆動の要

車を走らせる動力の伝達において、機構の仕組みは重要な役割を担っています。その中で、リヤスプロケットは、自転車の後ろの歯車と似た働きをする部品です。丸い円盤の縁に歯が並んでおり、この歯に鎖がはまり込むことで回転の動きを伝えます。リヤスプロケットは、自ら動力を生み出すのではなく、鎖を介して動力を伝えられることから、『従動歯車』とも呼ばれます。この『従動』とは、『動かされる』という意味で、リヤスプロケットの役割をよく表しています。 動力の流れを見てみましょう。まず、原動機から生まれた回転力は、変速機、そして回転軸などを経て駆動歯車に伝わります。次に、鎖を介してリヤスプロケットへと回転力が伝達されます。リヤスプロケットは受け取ったこの回転力を最終的に車輪に伝え、車を走らせるのです。リヤスプロケットは、単に回転を伝えるだけでなく、その大きさによって車の速度や力強さを調整する役割も担っています。大きなリヤスプロケットを使うと、車輪の回転数は減り、力強い走りを実現できます。逆に小さなリヤスプロケットを使うと、車輪の回転数は上がり、速い速度で走ることができます。 このように、リヤスプロケットは、動力の伝達において重要な役割を果たすとともに、車の性能を調整する上でも欠かせない部品と言えるでしょう。そして、リヤスプロケットと鎖、駆動歯車、そして原動機、変速機、回転軸などが組み合わさることで、複雑で精緻な機構が構成され、車をスムーズに走らせているのです。この機構の仕組みを理解することで、車の動きをより深く理解し、より安全で快適な運転につなげることができるでしょう。