歯車の精度を示すオーバーピン径
歯車を作る上で、歯の大きさがきちんと作られているかはとても大切です。歯の大きさを確かめる方法の一つに、「基準となる丸棒径」という寸法を測るやり方があります。この丸棒径のことを「オーバーピン径」と呼びます。
このオーバーピン径を測るには、まず決められた太さの丸い棒を用意します。この棒は、測る歯車の大きさに合わせて太さが決められています。そして、この棒を歯と歯の間に差し込みます。ちょうど歯の谷の部分に丸棒が乗るように置くわけです。
次に、向かい合う歯にも同じように丸棒を置きます。そして、置いた二本の丸棒の外側同士の距離を測ります。これがオーバーピン径です。
このオーバーピン径は、歯車の設計図に描かれた歯の大きさ(ピッチ円)が正しく作られているかを確認するために使われます。ピッチ円とは、歯車が回転した時に描く円のことで、歯車の大きさを表す基本的な寸法です。もし、オーバーピン径が設計図の値と違っていたら、歯と歯のかみ合わせが悪くなってしまうかもしれません。かみ合わせが悪いと、歯車がスムーズに回らなくなったり、大きな音が発生したり、最悪の場合は歯車が壊れてしまうこともあります。
ですから、歯車を作る際には、オーバーピン径を精密に測り、設計図の値とのずれを極めて小さくすることが欠かせません。この値が、歯車の正確さを保証する上で、非常に大事な要素の一つと言えるでしょう。