低転がり抵抗タイヤ:燃費向上への道
車は、エンジンが生み出す力でタイヤを回転させ、前に進みます。しかし、タイヤはただ回転するだけでなく、地面と接することで様々な抵抗を受けています。その中でも、車が動き続けるために常に打ち勝たなければならない抵抗の一つが転がり抵抗です。
転がり抵抗とは、タイヤが回転する際に発生する抵抗の総称です。平らな道を想像してみてください。一見するとスムーズに進めそうですが、実際にはタイヤは地面と接する部分でわずかに変形しています。この変形を繰り返す際にエネルギーが熱に変換され失われてしまうのです。これが転がり抵抗の大きな要因の一つです。自転車のタイヤに空気を入れてパンパンにすると、地面との接地面積が小さくなり、変形も小さくなるため、少ない力で楽に進めるようになるのもこのためです。
また、タイヤと路面の間には摩擦も発生します。どんなに滑らかに見える路面でも、顕微鏡で見ると細かな凹凸があります。この凹凸がタイヤと擦れ合うことで、抵抗が生じるのです。さらに、タイヤが回転するときには、周りの空気を巻き込み、かき乱すため、空気抵抗も発生します。
これらの抵抗を小さくするために、様々な工夫が凝らされています。例えば、タイヤの素材を改良することで変形しにくくしたり、路面の舗装を滑らかにすることで摩擦を減らしたり、タイヤの溝の形状を工夫して空気抵抗を小さくしたりといった技術開発が進んでいます。転がり抵抗が小さくなると、車を進めるために必要なエネルギーが少なくて済むので、燃費が向上し、環境にも優しくなります。つまり、転がり抵抗を理解し、小さくすることは、快適な運転と環境保護の両方に繋がる大切な取り組みと言えるでしょう。