タンデムマスターシリンダー

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機能

車の止まる仕組み:マスターシリンダー

車は、速く走る能力と同じくらい、確実に止まる能力も大切です。安全に止まるためには、ブレーキの役割が非常に重要です。そして、そのブレーキの性能を大きく左右する重要な部品の一つが、マスターシリンダーです。 マスターシリンダーは、運転手がブレーキペダルを踏む力を、ブレーキを効かせる力に変換する装置です。ペダルを踏む力は、機械的な力ですが、マスターシリンダー内部ではこの力が油圧へと変換されます。具体的には、マスターシリンダーの中に満たされたブレーキ液と呼ばれる液体が、ペダルを踏む力によって押し出され、この油圧がブレーキ配管を通じて各車輪のブレーキへと伝わります。 この油圧こそが、ブレーキを動かす力となり、車は止まることができます。ブレーキ液は、非圧縮性の液体であるため、ペダルを踏む力が効率よくブレーキに伝わり、確実な制動力を発揮します。 もしマスターシリンダーが正常に動作しないと、ブレーキの効きが悪くなったり、最悪の場合、ブレーキが全く効かなくなることもあります。これは、大変危険な状態であり、重大な事故につながる可能性があります。そのため、マスターシリンダーは定期的な点検と適切な整備が必要不可欠です。ブレーキ液の量や漏れ、またマスターシリンダー本体の劣化なども確認する必要があります。 マスターシリンダーは、車の安全を守る上で、なくてはならない重要な部品と言えるでしょう。日頃からブレーキの感触に気を配り、少しでも異変を感じたら、すぐに専門家による点検を受けるようにしましょう。
安全

安全を守る二重ブレーキ構造

自動車のブレーキは、安全な走行に欠かせない極めて重要な装置です。もしブレーキが正常に作動しないと、大きな事故につながる危険性があります。そのため、ブレーキ系統には様々な安全対策が施されています。その代表的なものが、ブレーキの二重化です。 ブレーキの二重化は、主にタンデムマスターシリンダーと呼ばれる部品によって実現されます。この部品は、内部を二つの独立した部屋に分け、それぞれが別々の油圧系統につながっています。例えるなら、一つの装置の中に二つのブレーキ系統が備わっているような構造です。 通常、ブレーキペダルを踏むと、二つの油圧系統が同時に作動し、四つの車輪すべてに制動力が伝わります。しかし、もし片方の系統に不具合が生じ、油圧が低下したり漏れが発生した場合でも、もう片方の系統は正常に機能し続けます。そのため、完全にブレーキが効かなくなる事態を防ぐことができます。仮に一つの系統でブレーキ力が半減したとしても、もう片方の系統が正常に作動していれば、ある程度の制動力は確保されるため、安全に停車できる可能性が高まります。 タンデムマスターシリンダーは、前輪と後輪で油圧系統を分けている場合が多いです。例えば、前輪のブレーキ系統に異常が発生しても、後輪のブレーキは正常に作動し、またその逆も然りです。前輪と後輪のブレーキを別々の系統にすることで、より安全性を高めているのです。 このように、ブレーキの二重化は、万が一の故障時にも制動力を維持し、安全な走行を確保するための重要な仕組みです。自動車の安全性を支える技術の一つとして、広く普及しています。