エアダム:車の安定性と燃費向上に貢献
車は走る時、空気の抵抗を受けます。この抵抗を減らす工夫の一つとして、空気の流れをうまく整える板を取り付けることがあります。これが空気抵抗板(エアダム)です。空気抵抗板は、その名の通り、空気の流れをせき止め、まるで水のダムのように制御する役割を果たします。主に車の前面と後面に取り付けられ、それぞれ異なる目的を持っています。
車の前面に取り付けられた空気抵抗板は、車体の下に空気が流れ込むのを防ぎます。車体の下側は、様々な部品で凸凹しているため、空気が流れると乱れが生じ、抵抗が大きくなります。空気抵抗板で空気の流れを制御することで、この抵抗を減らし、燃費を向上させる効果があります。また、高速走行時の車体の浮き上がりを抑え、安定した走行を可能にします。
一方、車の後面に取り付けられた空気抵抗板は、車体後方に発生する渦を小さくする役割を担います。車は走行中に、後ろに渦を発生させます。この渦は、車体を後ろに引っ張る力を生み出し、抵抗となります。空気抵抗板はこの渦の発生を抑え、抵抗を減らすことで、燃費向上に貢献します。
空気抵抗板の形や取り付け位置は、車の形に合わせて細かく調整されます。最近は、コンピューターを使って空気の流れ方を詳しく調べ、より効果的な空気抵抗板の形や配置を決めることが可能になりました。空気抵抗板は、一見すると小さな部品ですが、燃費向上や走行安定性など、車の性能向上に大きな役割を果たす重要な部品です。