ブレーキの安心を守る小さな部品
車を止めるために欠かせないブレーキ。ブレーキペダルを踏むと車が止まりますが、実はペダルを踏む力だけで車は止まっていません。ブレーキ倍力装置という部品が、小さな力でもしっかりとブレーキが効くように力を増幅させているのです。
ブレーキ倍力装置は、エンジンの吸い込む力、つまり負圧を利用して作動します。この装置の中には薄いゴムの膜があり、この膜によって二つの部屋に仕切られています。片方の部屋は常にエンジンの負圧がかかっており、もう片方の部屋は大気圧、つまり外の空気の圧力と同じになっています。
ブレーキペダルを踏んでいない時は、両方の部屋の圧力に差がないため、膜は動きません。しかし、ブレーキペダルを踏むと、大気圧側の部屋に空気が入り込み、負圧側の部屋との圧力差が生まれます。すると、膜は大気圧の低い側に押され、この動きがブレーキの油圧を高めるのです。
油圧というのは、油の圧力のことです。ブレーキペダルを踏むと、ブレーキ倍力装置によって高められた油圧がブレーキに伝わり、車が止まります。この倍力装置のおかげで、女性や高齢者など、力の弱い方でも軽い力でブレーキを踏むことができ、安全に車を運転できるのです。
もしブレーキ倍力装置が故障してしまうと、ブレーキペダルが非常に重くなり、強い力で踏まないとブレーキが効かなくなります。これは、エンジンの負圧が利用できなくなり、ペダルを踏む力だけでブレーキを操作しなければならなくなるからです。そのため、定期的な点検整備を行い、ブレーキ倍力装置が正常に作動しているかを確認することが大切です。