ディーゼル車

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規制

環境確保条例:首都圏の大気を守る取組み

首都圏は、人が多く集まり、様々な産業活動が盛んな地域です。しかし、その活気の裏側で、深刻な大気汚染の問題が潜んでいました。特に、工場や事業所からだけでなく、多くの車が走る道路からも、様々な物質が大気中に排出されていました。中でも、ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)は、とても小さな粒子であるため、呼吸をする際に肺の奥深くまで入り込み、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系の病気を引き起こすことが心配されていました。 こうした大気汚染の深刻さを受けて、国は自動車から排出される窒素酸化物や粒子状物質の量を規制する法律(自動車窒素酸化物・粒子状物質法)を定めました。しかし、この法律だけでは、首都圏特有の事情に合わせた対策をとることが難しかったのです。首都圏は、地形や気候条件などから、大気汚染物質が拡散しにくいという特徴がありました。また、人口や車の数が非常に多いため、国が定めた基準だけでは、住民の健康を守るのに十分な効果を期待することが難しかったのです。 そこで、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県は、協力して独自の対策に乗り出すことにしました。それが、首都圏の大気をきれいに保ち、そこに住む人々の健康を守るための環境確保条例です。この条例は、国の法律ではカバーしきれない部分も補い、首都圏の地域特性に合わせた、より厳しい規制を設けることで、大気汚染問題の解決を目指したのです。人々の暮らしを守り、安心して暮らせる環境を未来に残していくために、この条例は大きな役割を担うことになりました。
環境対策

窒素酸化物と車の関係

窒素酸化物とは、空気中にある窒素と酸素が結びついてできる物質です。物を燃やす時、特に温度が高くなるほど、この結びつきが起きやすくなります。身近な例では、私たちの暮らしに欠かせない車が挙げられます。車の心臓部であるエンジンの中では、燃料を燃やして動力を得ています。この燃焼の際に、非常に高い温度が発生し、その熱によって空気中の窒素と酸素が化合して窒素酸化物が生まれます。 窒素酸化物には、一酸化窒素や二酸化窒素など、いくつかの種類があります。これらをまとめて窒素酸化物と呼びます。一酸化窒素は無色透明で、においもありません。しかし、空気中の酸素と反応すると、二酸化窒素に変化します。二酸化窒素は赤茶色で、刺激のあるにおいを持つ気体です。そして、私たちの体にとって有害な物質です。この二酸化窒素を吸い込むと、喉や鼻の粘膜を刺激し、咳や痰などの症状を引き起こし、呼吸器の病気を悪化させる可能性があります。ぜんそくなどの持病を持つ人にとっては、特に注意が必要です。 さらに、窒素酸化物は、炭化水素という物質と太陽の光が合わさることで、光化学スモッグと呼ばれる大気汚染を引き起こします。光化学スモッグは、目や喉に刺激を与えるだけでなく、視界が悪くなるため、交通事故の危険性を高めます。また、植物にも悪影響を及ぼし、葉の色が抜けたり、枯れたりする原因となります。このように窒素酸化物は、私たちの健康や環境に様々な悪影響を与えるため、排出量を減らす努力が続けられています。自動車の排気ガス規制や工場の排煙処理装置など、様々な対策がとられています。