デュアルサーキット

記事数:(1)

安全

二重配管の安全対策:ダブルサーキット型ディスクブレーキ

自動車のブレーキは、安全を保つ上で欠かせない部品です。ブレーキが正常に作動しないと、大きな事故につながる恐れがあります。そのため、ブレーキには安全性を高める様々な工夫が凝らされています。その一つが、二系統配管による安全確保です。 二系統配管とは、ブレーキの油圧系統を二つに分けることで安全性を高める仕組みです。この仕組みは、二系統配管型ディスクブレーキとも呼ばれています。一つの系統に不具合が生じても、もう片方の系統がブレーキを動かす力を伝えることができるため、完全にブレーキが効かなくなる事態を防ぐことができます。 具体的には、二系統配管は前輪と後輪のブレーキをそれぞれ別の系統に接続する前後分割方式や、左右のブレーキをそれぞれ別の系統に接続する左右分割方式、そして前輪の左右と後輪の一方を一つの系統に、残りの後輪をもう一方の系統に接続するX分割方式などがあります。どの方式も、一つの系統に問題が発生しても、もう一方の系統で最低限の制動力を確保できるように設計されています。 例えば、前輪のブレーキ系統に不具合が生じた場合でも、後輪のブレーキ系統は正常に機能するため、車は止まることができます。反対に、後輪のブレーキ系統に不具合が生じた場合でも、前輪のブレーキ系統が機能するため、やはり車は止まることができます。このように、二系統配管は、どちらかの系統に不具合が生じても、ある程度の制動力を維持できるようにすることで、安全性を大幅に高めています。 この二系統配管は、飛行機の操縦系統にも用いられている安全確保の考え方とよく似ています。一つの系統が故障しても、もう一方の系統が機能することで、安全を確保するという考え方です。自動車においても、この冗長性を持たせる設計思想は、安全性を確保する上で非常に重要です。だからこそ、多くの自動車で二系統配管が採用されているのです。