安全を守る二重ブレーキ
車は、安全に止まることが何よりも大切です。そのために重要な役割を担うのがブレーキです。ブレーキが正常に機能しなければ、大きな事故につながる危険性があります。そこで、安全性を高める仕組みとして、二重ブレーキ、別名二系統式ブレーキが採用されています。
二重ブレーキとは、その名の通り、ブレーキ系統を二つの独立した系統に分割した構造です。通常、一つの系統で全ての車輪を制御していますが、二重ブレーキでは、前輪と後輪、あるいは左右の車輪といった具合に、二つの系統が別々に車輪を制御します。もし、片方の系統に何らかの不具合が生じても、もう片方の系統が機能するため、完全にブレーキが効かなくなる事態を避けられます。
例えば、ブレーキの配管が破損してブレーキ液が漏れてしまった場合を考えてみましょう。従来のブレーキシステムであれば、全ての車輪のブレーキが効かなくなる恐れがありました。しかし、二重ブレーキであれば、損傷を受けた系統以外の系統は正常に動作します。そのため、完全に停止することは難しくても、ある程度の制動力を維持し、車を安全に減速、停止させることができます。
二重ブレーキは、予期せぬトラブル発生時におけるドライバーの安全確保に大きく貢献しています。ブレーキ系統の故障は、ドライバーにとって非常に危険な状況です。二重ブレーキは、このような状況下でも、車を制御し続けられる可能性を高め、重大事故につながるリスクを大幅に軽減します。今では、ほぼ全ての車でこの二重ブレーキが標準装備されており、私たちの安全を守ってくれています。