デフうなり音の謎に迫る
車は多くの部品が組み合わさって動いています。それぞれの部品が働くことで、私たちは目的地まで快適に移動することができます。しかし、時には部品の動きから音が発生することがあります。終減速機と呼ばれる部品から「ウォーン」という低い音が聞こえることがあります。これは「うなり音」と呼ばれるものです。まるで遠くの空を飛行機が飛んでいるときのような、低い連続音です。
終減速機とは、エンジンの力をタイヤに伝えるための、最後の歯車装置です。エンジンは非常に速い速度で回転しています。そのままではタイヤを回すことができません。そこで、終減速機でエンジンの回転速度を落とし、タイヤに適した速度に変換しているのです。また、終減速機にはもう一つ重要な役割があります。左右のタイヤは、カーブを曲がるとき、それぞれ異なる距離を走ります。内側のタイヤは短い距離、外側のタイヤは長い距離を走ります。終減速機はこの違いを吸収し、左右のタイヤがそれぞれ適切な速度で回転できるように調整しているのです。
この終減速機に組み込まれた歯車は、常に完璧に噛み合っているとは限りません。歯車の製造過程でわずかな誤差が生じたり、使っているうちに歯が摩耗したりすることで、噛み合わせにムラが出てきます。この歯車の噛み合わせのムラが原因で、うなり音が発生するのです。
うなり音は、一定の高さの音ではありません。車の速度が上がったり下がったり、エンジンの回転数が変化したりすると、それに合わせてうなり音の音の高さも変化します。特に、高速道路のように、一定の速度で長い時間走る場合にはうなり音が発生しやすく、また聞こえやすいです。
うなり音は単なる騒音ではありません。車の状態を知るための重要な手がかりとなる場合もあります。うなり音が大きくなったり、いつもと違う音に変化したりした場合は、終減速機に何らかの異常が発生している可能性があります。そのような場合は、早めに整備工場で点検を受けるようにしてください。