車のデザインを決めるトリムライン
車の見栄えを決める要素はたくさんありますが、その中でも特に大切なのが車体の輪郭です。まるで風を切るように滑らかな曲線を描くスポーツカーや、いかにも頑丈そうな四輪駆動車、それぞれが持つ独特の雰囲気は、車体の輪郭によって表現されています。この輪郭を決定づけるのが、外形線と呼ばれる線です。外形線とは、一枚の大きな鉄板から車体の部品を切り出す際の切断線のことを指します。言ってみれば、車のデザインの設計図のようなものと言えるでしょう。設計者が描いたデザイン画に基づいて、この外形線が正確に設定されることで、初めて車の美しい曲線が出来上がるのです。
一枚の平らな鉄板から、複雑な立体形状の車体部品へと姿を変える過程で、外形線は大切な役割を担っています。外形線は単なる切断線ではなく、デザイナーの意図を三次元の形へと変換するための重要な情報を含んでいます。滑らかな曲線を実現するために、どの部分をどの程度膨らませるのか、どの角度で曲げるのか、といった情報が全て外形線に集約されているのです。
外形線の設定は、コンピューター制御の機械によって精密に行われます。設計者がコンピューター上でデザイン画を作成し、そのデータに基づいて機械が鉄板を切断していきます。わずかな誤差も許されないため、高度な技術と精密な機械が欠かせません。こうして正確に切り出された部品が、溶接や組み立てといった工程を経て、最終的に私たちが目にする車体の形となるのです。つまり、車の美しいシルエットは、外形線という目に見えない線が支えていると言えるでしょう。車のデザインを考える際には、全体のバランスはもちろんのこと、この外形線がどのように設定されているのかにも注目してみると、より深く車の魅力を理解できるはずです。