3つの金属:トリメタルの深掘り
「組み合わせ金属」と呼ばれるトリメタルは、三種類の金属を巧みに重ね合わせた素材です。主に、くるくると回る軸を支え、抵抗を少なくする「軸受け」という部品に使われています。この軸受けは、力がかかるエンジンの内部で、滑らかな回転を保つために欠かせません。まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。
トリメタルは、鉄を土台に、滑りやすい金属と強度のある金属を組み合わせて作られます。中心には、やわらかく滑りやすい鉛やスズを主成分とする合金が使われています。この合金は、軸との摩擦を減らし、滑らかな回転を助けます。外側には、強度が高い銅やアルミニウムなどを主成分とした合金が用いられ、エンジンの激しい動きや高い圧力に耐える役割を果たします。このように、異なる金属の持ち味を活かすことで、耐久性と性能を両立させているのです。
さらに、軸受けには、潤滑油であるエンジン油がスムーズに流れるように、表面に溝が彫られているものもあります。この溝のおかげで、エンジン油が隅々まで行き渡り、摩擦による熱の発生を抑え、軸受けの寿命を延ばす効果があります。エンジン内部は高温で、常に激しい動きにさらされているため、このような工夫は非常に重要です。
近年の自動車技術の進歩に伴い、エンジンも多種多様になっています。それに合わせるように、トリメタル軸受けも様々な形や大きさのものがあります。小さな軽自動車から、大きなトラックまで、幅広い種類のエンジンに対応できるのは、トリメタル軸受けの大きな強みです。このように、トリメタル軸受けは、目立たないながらも、自動車の進化を支える重要な部品と言えるでしょう。