トルク管理

記事数:(1)

車の生産

回転角で締める!高強度ボルト締結の秘密

ねじを締める作業は、ものを作る上で欠かせません。しっかりと締め付けないと、部品が外れて大きな事故につながることもあります。ねじの締め付け具合は、昔から締め付ける力、つまり締付けトルクで管理されてきました。しかし、締付けトルクによる管理では、ねじと部品の間の摩擦力の影響を受けやすく、狙い通りの締め付け具合にならないことがありました。そこで登場したのが、回転角締付け法です。 回転角締付け法とは、締付けトルクに加えて、ねじをどれだけ回転させたかという角度も一緒に管理する方法です。まず、ねじを軽く締めて部品同士を密着させます。この時の締付けトルクは、目標とする締付けトルクよりも小さくなります。この軽い締め付けによって、部品とねじの間の摩擦がある程度安定します。次に、あらかじめ決めた角度だけねじをさらに回転させます。この角度は、ねじの種類や大きさ、材質などによって適切な値が異なります。 回転角締付け法の利点は、摩擦力の影響を小さくできることです。締付けトルクによる管理では、摩擦力が変わると締め付け具合も変わってしまいます。しかし、回転角締付け法では、摩擦力の変化は角度にはあまり影響しないため、常に同じ締め付け具合を達成できるのです。 この方法は、高い精度と信頼性が求められる自動車のエンジンなど、重要な部品の組み立てに多く用いられています。エンジンの内部では、高温高圧な環境で激しい動きが繰り返されます。ねじが少しでも緩むと、エンジンが壊れてしまうかもしれません。回転角締付け法を用いることで、ねじの締め付けをより正確に管理し、エンジンの性能と安全性を高めることができるのです。