車の速度測定とドップラー効果
音の高さの変化を感じたことはありませんか?救急車が近づいてくるとき、サイレンの音は高く聞こえ、遠ざかると低く聞こえます。この現象こそ、ドップラー効果と呼ばれるものです。ドップラー効果とは、音の発生源と聞く人の間に動きの差があると、実際に出ている音の高さとは違って聞こえる現象のことです。
音を伝える空気は波のように伝わります。発生源が動かない場合、音の波は均等に広がっていきます。しかし、発生源が動いている場合は状況が変わります。例えば、救急車がこちらに向かってくるとき、救急車は自らが出した音波に近づいていきます。そのため、音の波は前方に押し縮められ、波の間隔が狭くなります。波の間隔が狭まるということは、波の山と山の間の距離が短くなる、つまり波長が短くなるということです。音の高さは波長と深い関係があり、波長が短いほど音は高く聞こえます。だから、近づいてくる救急車のサイレンは実際よりも高く聞こえるのです。
反対に、救急車が遠ざかるときはどうなるでしょうか。救急車は自らが出した音波から遠ざかっていくため、音の波は後ろに引き伸ばされ、波の間隔が広くなります。つまり、波長が長くなるということです。波長が長いほど音は低く聞こえるため、遠ざかる救急車のサイレンは実際よりも低く聞こえるのです。
このドップラー効果は、音だけでなく、光や電波など、あらゆる波で起こります。例えば、遠くの星から届く光の色も、ドップラー効果によって変化します。星が地球に近づいていると、光の色は青みがかって見え、遠ざかっていると赤みがかって見えます。これは、天文学の分野で星の動きを調べる際に利用されています。