ニュートラル異音

記事数:(1)

駆動系

静かなる工夫:サブギヤの役割

車を走らせるための装置、変速機には、たくさんの歯車が組み合わさって動力を伝えています。これらの歯車は、非常に高い精度で作られていますが、どうしてもごくわずかな隙間ができてしまいます。この隙間は「遊び」とも呼ばれ、機械部品同士がスムーズに動くために必要なものです。しかし、この遊びが原因で、車が止まっている時でも変速機から「カラカラ」といった音が聞こえることがあります。この音は、停止中に聞こえることから「ニュートラル異音」と呼ばれ、歯と歯がぶつかる「歯打ち音」や「ガラガラ」という音に聞こえることもあります。この耳障りな音を抑えるために、小さな歯車である「副歯車」が重要な役割を果たしています。副歯車は、主な役割を担う「主歯車」に寄り添うように取り付けられていて、まるで助け役のように働きます。主歯車と副歯車の歯の数には、わずかな違いがあります。この歯数の違いを利用することで、主歯車と副歯車の回転速度に差が生じ、互いの歯が常に軽く接触した状態を保つことができるのです。この仕組みによって、歯車同士の遊びをなくし、音を出す原因となるガタツキを抑えています。まるで、パズルのピースのように副歯車が主歯車の隙間をぴったりと埋めることで、静かで心地よい運転環境を実現しているのです。副歯車の働きにより、不快な音が解消されるだけでなく、歯車同士の摩耗も軽減され、変速機の寿命も延びるという利点もあります。このように、小さな副歯車が持つ大きな役割は、快適な運転を支える上で欠かせない要素となっています。