バイパスフィルター

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エンジン

車のエンジンオイル濾過方式の進化

昔の車は、「わき道濾過方式」と呼ばれる独特なオイルの汚れを取り除く仕組みを使っていました。この方式は、エンジンオイルを送り出すポンプから出たオイルの一部だけが、汚れを取り除く濾過装置を通るようになっていました。残りのオイルは、濾過装置を通らずに、エンジンの大切な部分に直接送られていました。つまり、エンジンオイル全体を常にきれいにしているわけではなく、汚れを含んだままのオイルがエンジン内部を巡っていたのです。 なぜこのような仕組みだったのかというと、当時の濾過装置の性能が低かったことが大きな理由です。もし全てのオイルを濾過しようとすると、濾過装置が目詰まりを起こし、オイルの流れが悪くなってしまう恐れがありました。また、昔のエンジンオイルは今よりも粘り気が強く、濾過装置を通しにくかったという事情もありました。 わき道濾過方式には利点もありました。濾過装置を小さく、そして安く作ることができたのです。しかし、濾過されなかったオイルに含まれる金属の粉や砂埃などの汚れが、エンジン内部の摺動部と呼ばれる、部品同士が擦れ合う場所に付着して、摩耗や損傷を引き起こすことが心配されていました。摺動部の表面が傷つくと、エンジンの性能が低下したり、寿命が縮まったりする可能性があります。 このような問題があったため、より性能の高い濾過方式に変える必要性が高まっていきました。現在主流となっている「全量濾過方式」は、エンジンオイルの全てを濾過装置に通すことで、エンジン内部を常にきれいなオイルで満たし、エンジンの性能と寿命を向上させています。昔のわき道濾過方式と比べると、技術の進歩によってエンジンの信頼性が大きく向上したことがわかります。