バルブ配置

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エンジン

車の心臓部、バルブ配置の奥深さ

車の心臓部であるエンジンは、ガソリンと空気の交じり合った混合気を爆発させて力を生み出します。この爆発が起こる場所が燃焼室であり、混合気を燃焼室に取り入れたり、爆発後の排気ガスを外に出したりする扉の役割を果たすのがバルブです。バルブ配置とは、このバルブを燃焼室のどこにどのように置くか、そしてどのように動かすかを決める設計のことです。 バルブの置き方と動かし方は、エンジンの性能に大きな影響を与えます。力強さ、燃費の良さ、静かさ、そして作るのにかかる費用など、様々な要素に関わってきます。そのため、様々な配置方法が考え出され、使われてきました。例えば、吸気バルブと排気バルブを燃焼室の同じ側に並べる配置もあります。これを並列バルブと呼び、主に費用を抑えたい場合に採用されます。燃焼室を挟んで吸気と排気を向かい側に配置する対向バルブもあります。この配置は、燃焼室の形を綺麗に整えやすく、混合気の燃え方も均一になりやすいので、滑らかな回転と力強い出力を両立させたい高級車などでよく使われます。 他にも、吸気バルブと排気バルブを燃焼室に対して斜めに配置する挟角バルブもあります。この配置は、燃焼室の形をコンパクトにまとめることができ、高い圧縮比を実現しやすいという利点があります。高い圧縮比は、エンジンの熱効率を高め、燃費を向上させる効果があります。最近では、環境への配慮から燃費性能が重視される傾向にあるため、挟角バルブは多くの乗用車で採用されています。 このように、バルブ配置はエンジンの性格を決める重要な要素の一つです。自動車を作る会社は、車の大きさや用途、目指す性能、そして製造にかかる費用などを考え合わせて、それぞれの車に最も適したバルブ配置を常に追求しています。そのため、一見同じように見えるエンジンでも、実は様々な工夫が凝らされているのです。
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サイドバルブエンジン:古き良き時代の心臓

側面弁機関は、その名前が示すように、空気の吸入口と排気口を開閉する弁が円筒の横に配置されているのが特徴です。弁、吸気口、排気口、そして弁を動かす回転軸も全て円筒の塊の中に収められています。この構造は、T型フォードという車に採用され、自動車の歴史に名を残すこととなりました。 機関全体の構造は単純で部品の数が少なく、製造費用を抑えることができたため、大量生産時代の始まりに大きく貢献しました。当時の製造技術では、複雑な形の円筒の頭部に弁を配置することが難しかったため、側面に配置する構造が選ばれました。これにより、製造工程が簡略化され、低価格での大量生産が可能になったのです。 また、整備のしやすさも大きな利点でした。部品が少ないため、複雑な道具や専門的な知識がなくても、ある程度の整備は自分で行うことができました。これは、自動車がまだ珍しかった時代に、一般の人々にとって大きな魅力でした。故障した場合でも、比較的簡単に修理できたため、維持費用を抑えることができたのです。 しかし、単純な構造であるがゆえに、性能面ではいくつかの課題を抱えていました。燃焼室の形がいびつになりやすく、効率的な燃焼が難しかったため、出力が低く、燃費もあまり良くありませんでした。また、回転数を上げると、弁の動きが追いつかなくなり、性能が低下するという問題もありました。 側面弁機関は、自動車の普及に大きく貢献した重要な技術ですが、性能の限界から、後に頭上弁機関に取って代わられました。しかし、その単純さと信頼性は、現在でも一部の小型機関などで利用されています。