カムノーズ:エンジンの心臓部
くるまの心臓部とも呼ばれる発動機の中には、吸排気と呼ばれる空気の出し入れを調整するしくみがあります。その重要な部品の一つに、カム軸と呼ばれる回転する軸があります。この軸には、山のような形をしたでっぱりがついており、これをカム山といいます。カム山の一番高い部分をカムノーズといい、これが吸排気を調整する弁の開閉時期を決定づける、非常に大事な部分です。
カム軸が回転すると、カム山、つまりカムノーズが弁を押して弁が開き、空気の出し入れを行います。カムノーズが回転して弁から離れると、弁はばねの力で閉じます。この開閉動作を繰り返すことで、発動機は適切なタイミングで空気の出し入れを行い、動力を生み出します。
カムノーズの形や高さは、発動機の性能に大きな影響を与えます。高いカムノーズは弁をより大きく、より長く開くことができ、たくさんの空気を出し入れできます。これは高回転で大きな力を出すことに有利ですが、低い回転ではぎこちない動きになることもあります。逆に、低いカムノーズは、低い回転で滑らかな動きを生み出すことができますが、高い回転では十分な力を発揮できません。
そのため、カムノーズは発動機の用途に合わせて綿密に設計されます。街乗りが中心のくるまには、低い回転で滑らかに動くように設計されたカムノーズが用いられます。一方、競技用のくるまのように高い回転で大きな力を必要とする場合は、高いカムノーズが用いられます。このように、カムノーズはくるまの性格を決める上で重要な役割を担っているのです。