バーチャルモデル

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車の開発

実寸大表示でクルマの内外装をチェック!パワーウォールとは?

自動車作りにおける設計の段階では、様々な工夫が凝らされています。中でも、「大きく映して詳しく見る」という画期的な手法が注目を集めています。これは、「パワーウォール」と呼ばれる大型画面を利用した、仮想模型評価の手法です。 コンピューターで作った立体的な設計図を、実物と同じ大きさでパワーウォールに映し出すことで、まるで本物の車が存在するかのような、臨場感あふれる映像を作り出します。これにより、設計者は画面上の小さな模型を見るだけでなく、実物大の大きさでデザインや使い勝手を確かめることができるようになりました。 従来の設計作業では、平面の画面上でしか確認できなかったため、実物を見た時の印象や操作性を正確に捉えるのが難しいという課題がありました。例えば、運転席に座った時の視界や、計器類の配置などは、平面の画面上では分かりにくい部分です。しかし、パワーウォールを使うことで、設計の初期段階から実物に近い状態で評価できるようになり、開発期間の短縮や費用削減に繋がります。 さらに、パワーウォールは立体的な映像を表示できるので、奥行きや形といった情報もより正確に把握できます。微妙な曲線の美しさや、部品同士の組み合わせの具合など、細部まで確認することで、デザインの完成度を高めることに役立ちます。パワーウォールは、設計者にとって強力な道具と言えるでしょう。
車の開発

仮想現実で変わる車の開発

仮想現実は、計算機を用いて人工的に作り出した、現実世界のように感じられる環境のことです。まるで本当にその場にいるかのような体験ができます。現実世界を模倣するだけでなく、現実には存在しない空想の世界を作り出すことも可能です。 自動車の開発現場では、この仮想現実技術が革新をもたらしています。従来、新しい車を作る際には、粘土で実物大の模型を作ったり、試作車を実際に製造したりしていました。しかし、これらの作業には多大な時間と費用がかかります。仮想現実技術を活用すれば、計算機上で車の設計図を基に、写真のように精緻な画像や、実際に走っているかのような動画を作り出すことができます。まるで本当に車が存在するかのように、様々な角度から形状を確認したり、運転席に座って操作性を確かめたりすることが可能です。 仮想現実は、開発の初期段階から様々な検証を可能にします。例えば、デザインの評価、運転のしやすさ、安全性、空気抵抗など、様々な要素を仮想空間で確認できます。さらに、衝突安全性試験なども仮想的に行うことで、試作車の製造回数を減らし、資源の節約にも繋がります。 従来の実物模型や試作車による検証に比べて、仮想現実は時間と費用を大幅に削減できるという大きな利点があります。修正も容易に行えるため、開発期間の短縮、ひいては開発コストの削減に大きく貢献します。また、世界各地の開発拠点が同じ仮想空間にアクセスすることで、場所を選ばずに共同作業を行うことも可能になります。このように、仮想現実技術は自動車開発の効率化に大きく貢献し、自動車産業の未来を担う重要な技術と言えるでしょう。