パイロットコンバーター

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駆動系

滑らかな走りを実現する技術

車は、心臓部である原動機が生み出した力を、実際に地面を蹴る車輪へと送り届けることで、前へと進みます。この力の受け渡しを行う道筋には、様々な部品が組み合わさって働いていますが、その中で原動機と変速機をつなぐ部分に、トルクコンバーターと呼ばれる重要な部品があります。 トルクコンバーターは、原動機の回転力を、変速機に伝える役割を担っています。しかし、単に回転を伝えるだけでなく、まるでクッションのように、滑らかに力を伝えるという重要な働きも持っています。 原動機は、特に動き始めや速度を急に上げたい時に、大きな力を発生させようとします。もしこの力がそのまま車輪に伝わってしまうと、車はがくがくしたり、乗っている人は強い衝撃を感じてしまうでしょう。トルクコンバーターはこのような急な変化を和らげる働きをします。 トルクコンバーターの中には、羽根車が複数入っていて、それぞれが原動機からの力を受けたり、変速機に力を送ったりしています。これらの羽根車は、液体の中で回転しており、この液体がクッションの役割を果たすことで、急な力の変化を吸収してくれるのです。 例えば、信号待ちからの発進を想像してみてください。アクセルペダルを踏むと、原動機は回転を始めますが、車はすぐには動き出しません。この時、トルクコンバーターは原動機の回転を滑らかに変速機へと伝え、車がスムーズに動き出すように調整しています。また、高速道路での追い越しなどで急加速する場合も、トルクコンバーターが原動機の急な回転数の上昇を抑え、滑らかな加速を実現する手助けをしています。 このように、トルクコンバーターは、乗り心地を良くし、車の運転をスムーズにする上で、重要な役割を担っているのです。