パーコレーション

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夏の車の悩み、パーコレーション対策

車は、燃料を燃焼させて動力を得ています。この燃料を送る仕組みが滞ると、車はうまく動かなくなります。その原因の一つに、パーコレーションと呼ばれる現象があります。これは、夏の暑い時期などに、車の心臓部であるエンジンが熱くなりすぎることで起こる現象です。 パーコレーションは、燃料系統に気泡が発生することで起こります。燃料は通常、液体でエンジンに送られますが、高温になると一部が気体、つまり気泡に変わってしまうのです。この気泡が燃料の通り道を塞いでしまうと、エンジンに必要な燃料が供給されなくなり、エンジンが不調になったり、停止したりすることがあります。 パーコレーションは、車が停止している時や、低速で走っている時に特に発生しやすいです。これは、車が動いている時は、空気の流れによってエンジンが冷やされますが、停止している時は、その冷却効果が弱まるためです。また、山の上などの気圧が低い場所では、液体が気化しやすいため、パーコレーションが起こりやすくなります。 パーコレーションは、昔ながらの燃料供給装置である気化器を使っている車に多く見られます。近年の車は、電子制御燃料噴射装置が主流となっており、燃料を高圧で噴射するため、気泡の影響を受けにくくなっています。しかし、旧車や一部の車種では、今でも気化器が使われているため、パーコレーションへの注意が必要です。 パーコレーションを防ぐためには、エンジンルームの温度を下げることが重要です。例えば、直射日光を避けて駐車したり、冷却水の量を適切に保ったりすることで、エンジンの過熱を防ぐことができます。また、燃料系統の点検を行うことも有効です。燃料フィルターの詰まりや燃料ポンプの不具合は、パーコレーションを発生させる原因となります。
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燃料還流システム:車の心臓を守る仕組み

車は燃料を燃やし、その爆発力で動力を得ています。この燃料をエンジンに送り届ける仕組みの中で、燃料還流は重要な役割を果たしています。燃料還流とは、エンジンが必要とする量よりも多くの燃料を燃料ポンプで送り込み、余った燃料をタンクに戻す仕組みです。 燃料還流の大きな役割の一つは、エンジンの温度管理です。エンジンは燃料を燃焼させる過程で高温になります。この熱は燃料系統にも伝わり、燃料の温度を上昇させます。燃料の温度が高くなりすぎると、燃料が気体になり、液体の状態を保てなくなることがあります。これは、エンジンの安定した動作を妨げる原因となります。燃料還流は、余分な燃料をタンクに戻すことで、燃料系統全体の温度を下げ、燃料が気体になるのを防ぎます。これにより、エンジンは安定して燃料を燃焼させ、スムーズな動力を生み出すことができます。 また、燃料還流は燃料系統内の圧力を一定に保つ役割も担っています。燃料系統の圧力が不安定になると、燃料ポンプや噴射装置に負担がかかり、故障の原因となることがあります。燃料還流によって、常に一定量の燃料を循環させることで、圧力を安定させ、これらの部品への負担を軽減します。これは、部品の寿命を延ばし、車の維持費を抑えることにも繋がります。 さらに、燃料還流は燃料の劣化を防ぐ効果も期待できます。燃料は高温にさらされると酸化しやすく、性能が低下することがあります。燃料還流は、燃料をタンクに戻し、タンク内の燃料と混ぜ合わせることで、燃料全体の温度を下げ、酸化を防ぎます。これにより、常に新鮮な状態の燃料をエンジンに供給することができ、エンジンの性能を維持することに貢献します。
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パーコレーション:夏のエンジントラブル

車は、暑い時期に長い時間走り続けたり、坂道を登ったりすると、エンジンルームの温度が上がりやすくなります。特に、高速道路などを走った後、車を停めてエンジンを切ると、エンジンルーム内の熱がこもってしまい、温度が急上昇することがあります。この現象が、キャブレター式の車特有のエンジントラブル、「パーコレーション」を引き起こす原因となります。 キャブレターは、エンジンに吸い込む空気と燃料を混ぜ合わせる、いわば車の「調理器具」のような部品です。キャブレターには「フロート室」と呼ばれる小さな部屋があり、ここに燃料が貯められています。パーコレーションは、このフロート室内の燃料に熱が伝わり、燃料が沸騰してしまう現象です。まるで、コンロの火を消した後も、熱いヤカンの中の湯が沸騰し続けるように、エンジンを止めても熱いエンジンルームの中で燃料は気化し続け、泡立ちます。 この泡立った燃料、つまり気化した燃料は、エンジンの吸気系に入り込んでしまいます。エンジンは、空気と燃料を適切な割合で混ぜ合わせた混合気を吸い込んで動きます。この混合気の割合が、料理の味付けと同じように重要です。パーコレーションが起こると、気化した燃料が過剰に吸気系に入り込み、混合気の燃料濃度が濃くなりすぎてしまいます。ちょうど、料理に調味料を入れすぎて味が濃くなってしまうのと同じように、燃料が多すぎてエンジンが始動しにくくなってしまうのです。これが、パーコレーションによってエンジンがかかりにくくなる理由です。パーコレーションは、夏の暑い時期によく起こる現象なので、古いキャブレター式の車を所有している方は注意が必要です。