フィードバック制御

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エンジン

点火時期最適制御で燃費向上

車は、燃料を燃やすことで力を生み出し、走っています。その燃料に火をつけるのが点火栓の役割です。点火栓が火花を飛ばす時を点火時期と言い、この点火時期が車の調子を大きく左右します。 燃料と空気が混ざった混合気は、ピストンによって圧縮されます。この圧縮された混合気に点火栓が火花を飛ばし、燃焼が始まります。燃焼によってピストンが押し下げられ、車が走るための力が生まれるのです。点火時期が最適な時は、ピストンが押し下げられる力が最大になり、車は力強く、なめらかに走ります。また、燃料も無駄なく使われるので、燃費も良くなります。 しかし、点火時期が早すぎると、ピストンがまだ上がりきっていない状態で燃焼が始まってしまい、エンジンに負担がかかり、異音が発生することがあります。反対に、点火時期が遅すぎると、ピストンが既に下がり始めている時に燃焼が始まり、十分な力が得られません。また、燃え残った燃料が排気ガスとなって出てしまい、燃費が悪化するだけでなく、環境にも悪影響を与えてしまいます。 点火時期は、エンジンの回転数や負荷など、様々な状況に応じて常に変化します。昔は、整備士が手で調整していましたが、最近の車はコンピューターが自動的に最適な点火時期を制御しています。これにより、常にエンジンの性能を最大限に引き出し、燃費を向上させ、有害な排気ガスを減らすことが可能になっています。 このように、点火時期は車の性能と環境性能に大きな影響を与える重要な要素です。普段は意識することが少ないかもしれませんが、点火時期の制御が車の快適な走りを実現しているのです。
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車の制御:オープンコントロールとは?

開いた制御、つまりオープンコントロールは、あらかじめ部品や装置の動き方を決めておく制御方法です。この方法では、車の状態に合わせて装置の動きを細かく変えることはしません。あらかじめ様々な状況を想定し、実験や模擬試験を通して一番良い動き方を決めておき、その通りに制御するのです。 例えば、燃料をエンジンに送り込む量や、エンジンの中で燃料を燃やすタイミングを制御する場合を考えてみましょう。オープンコントロールでは、エンジンの回転数やアクセルの踏み込み具合に応じて、燃料噴射装置に送る信号の長さを変えます。この信号の長さが燃料の量を決めるわけです。アクセルを深く踏めば信号が長くなり、多くの燃料がエンジンに送られます。逆にアクセルを戻せば信号は短くなり、燃料の量は少なくなります。 燃料を燃やすタイミングも同じように、エンジンの回転数やエンジンの負担を基にあらかじめ決めておきます。エンジンが速く回っている時や、負担が大きい時は、燃料を燃やすタイミングを早くする必要があるかもしれません。これらのタイミングは、様々な運転状況を想定して、実験や模擬運転で最適な値を調べておきます。 オープンコントロールの良い点は、仕組みが単純で分かりやすいことです。しかし、運転中に道路状況や天候が急に変わっても、あらかじめ決めた制御値は変わりません。そのため、常に最適な制御ができるとは限りません。近年の車は、様々な状況に合わせて制御値を細かく変える、より高度な制御方法が使われるようになっています。
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車の自動制御:クローズドループの仕組み

車は、私たちの生活に欠かせない移動手段として、日々進化を続けています。快適性や安全性の向上はもちろんのこと、環境への配慮も重要な課題となっています。こうした進化を支えているのが、様々な技術革新であり、その中でも自動制御は、車の性能を飛躍的に向上させる重要な役割を担っています。自動制御とは、機械が人間の操作なしに自動的に動作するように調整する技術です。 今回ご紹介する「閉回路制御」は、自動制御の中でも特に重要な制御方式の一つです。閉回路制御は、目標値と実際の値を常に比較し、その差に基づいて制御を行う仕組みです。例えば、車の速度制御を例に考えてみましょう。ドライバーが設定した速度を目標値とし、車の実際の速度をセンサーで計測します。もし、実際の速度が目標値よりも遅ければ、アクセルを開けて加速し、逆に速ければ、アクセルを戻したりブレーキをかけたりして減速します。このように、常に目標値と実際の値を比較し、その差をなくすように制御するのが閉回路制御です。 閉回路制御は、フィードバック制御とも呼ばれ、様々な分野で応用されています。車においては、速度制御以外にも、エンジン回転数の制御、車体制御、空調制御など、多くの場面で活用されています。閉回路制御のメリットは、外乱の影響を受けにくい点です。例えば、上り坂で速度が落ちた場合でも、実際の速度を検知し、自動的にアクセルを開けて目標速度を維持しようとします。これにより、ドライバーは安定した運転を続けることができます。 閉回路制御は、車の安全性や快適性を向上させる上で欠かせない技術です。今後、自動運転技術の発展などにより、ますますその重要性が増していくと考えられます。この技術を理解することは、車の進化を理解する上で重要な一歩となるでしょう。
機能

アクティブサスペンション:快適な乗り心地と優れた運動性能

車は路面を走る以上、どうしても揺れてしまいます。この揺れを抑えるのが、車体とタイヤの間にある緩衝装置、つまりサスペンションの役割です。 従来のサスペンションは、バネと油圧ダンパーの組み合わせで、ある程度の揺れを吸収する仕組みでした。しかし、快適な乗り心地を重視すると、ふわふわとした柔らかい設定になり、カーブを曲がるときに車体が大きく傾いてしまうなど、安定性に欠けるきらいがありました。逆に、安定性を重視して固い設定にすると、路面の小さな凹凸も拾ってしまい、乗り心地が悪くなってしまう、という問題がありました。 快適性と走行安定性、この相反する二つの性能を両立させるために開発されたのが、アクティブサスペンションです。 アクティブサスペンションは、コンピューター制御によってサスペンションの働きを積極的に調整します。路面の状況や車の状態をセンサーで感知し、その情報に基づいて油圧や空気圧を使って車高やサスペンションの固さを自動的に変化させます。 例えば、高速道路を走行しているときは、車高を低くして空気抵抗を減らし、安定性を高めます。一方、デコボコの多い悪路を走行しているときは、車高を高くして路面からの衝撃を和らげ、乗り心地を向上させます。また、カーブを曲がるときは、外側のサスペンションを固く、内側のサスペンションを柔らかくすることで、車体の傾きを抑え、安定したコーナリングを実現します。 このように、アクティブサスペンションは、状況に合わせてサスペンションの特性を常に最適な状態に制御することで、快適な乗り心地と優れた運動性能を両立させることを可能にしています。まさに、夢の足回りと言えるでしょう。