ブレーキのフェード現象とその対策
車を安全に止めるために欠かせないブレーキですが、使い方によっては、その効きが悪くなることがあります。これをブレーキのフェード現象、あるいは熱だれと言います。ブレーキペダルを強く踏んでも、止まろうとする力が弱まるため、大変危険な状態です。
この現象は、ブレーキを繰り返し使うことで起こります。例えば、高速道路を降りる際の減速や、長い下り坂でブレーキを踏み続けなければならない時などです。このような状況では、ブレーキ部品に大きな負担がかかり、温度が異常に高くなります。
ブレーキの部品の中でも、摩擦を起こして車を止める役割を持つ部品、ブレーキパッドやブレーキシューといった摩擦材が熱を持つと、その材料が分解を始めることがフェード現象の主な原因です。摩擦材の温度が上がりすぎると、材料の一部が気体となって発生します。この気体は、ブレーキパッドとディスクローター、あるいはブレーキシューとブレーキドラムの間に薄い膜を作ります。
この膜は、ブレーキパッドとディスクローター、あるいはブレーキシューとブレーキドラムが直接触れ合うのを妨げます。例えるなら、二つの物体の間に油を塗ったような状態になり、摩擦による抵抗が小さくなります。
摩擦が小さくなるということは、ブレーキの効きが悪くなるということです。これが、フェード現象によってブレーキペダルを踏んでも止まらなくなる理由です。フェード現象は、安全な運転を脅かすため、日頃からブレーキの状態に気を配り、適切な運転を心がけることが重要です。長い下り坂など、ブレーキに負担がかかる状況では、エンジンブレーキを併用するなどして、ブレーキの温度上昇を抑える工夫をしましょう。また、定期的な点検でブレーキ部品の状態を確認することも大切です。