フォード・モデルT

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車のタイプ

セダン:自動車の定番スタイル

馬のない乗り物が行き交う時代、ヨーロッパでは、身分の高い女性たちが移動に小さなかごのような乗り物を使っていました。この乗り物は、職人が腕を振るうフランスのセダンという町で作られていたため、人々から「セダン」と呼ばれるようになりました。この小さな乗り物こそ、現代の自動車の車体の種類を表す「セダン」の語源なのです。 時は流れ、馬車が登場すると、セダンは馬に引かれる乗り物へと進化を遂げます。馬に引かれるセダンは、「セダンチェア」と呼ばれていました。セダンチェアは、囲われた空間で人々を風雨から守り、移動の疲れを癒やす、快適な乗り物でした。 さらに時代が進み、エンジンを動力とする自動車が発明されると、人々は馬車の形をまねて自動車の車体を作りました。そして、屋根と扉があり、密閉された空間を持つ車体の形は、かつてのセダンチェアを思い起こさせたことから、この形の自動車も「セダン」と呼ばれるようになりました。 初期の自動車のセダンは、現代のセダンとは形が少し異なっていました。しかし、乗る人の快適さや周りの目を気にせず過ごせる空間を作るというセダンの大切な考え方は、既にこの頃からあったのです。 つまり、人々が移動を快適にしたいと願う気持ちこそが、セダンという車体の種類を生み出したと言えるでしょう。セダンという名前は、小さなかごから馬車、そして現代の自動車へと、長い歴史の中で受け継がれてきたのです。