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内装

車の快適性を支える前席の進化

自動車の座席、とりわけ運転席と助手席は大きく分けて二種類あります。一つはベンチシートと呼ばれるものです。これは、一枚の大きな座面を持つ座席で、運転席と助手席の間に仕切りがなく、大人三人が座れるほどの大きさを持つものもあります。かつては、多くの乗用車や小型トラックなどで採用されていました。特に、広々とした室内空間を演出できることから、家族向けの車種で人気を集めていました。また、中央席に幼い子供を座らせ、すぐ近くで見守ることができるという利点もありました。 もう一つはセパレートシートと呼ばれるものです。これは、運転席と助手席が独立した座席です。それぞれの座席は個別に調整できるため、乗員の体格や好みに合わせた最適な運転姿勢を確保できます。近年では、ほとんどの乗用車で採用されています。かつては、運転席と助手席の間にシフトレバーが配置されている車種が多く、ベンチシートではシフト操作に支障がありました。しかし、近年では多くの車種でシフトレバーが床面に配置されるようになり、セパレートシートの採用が進みました。 セパレートシートの普及には、安全性向上の効果も大きく関係しています。独立した座席構造は、衝突時の乗員の横方向への移動を抑制し、怪我の軽減に繋がります。また、個別に調整可能なヘッドレストは、追突事故時のむち打ち症の予防にも役立ちます。 このように、ベンチシートとセパレートシートはそれぞれに特徴があります。ベンチシートは広々とした空間を演出できる反面、安全性や調整機能の面で劣る部分があります。一方、セパレートシートは安全性と快適性に優れていますが、大人三人が前席に座ることはできません。車を選ぶ際には、それぞれの座席の特徴を理解し、自身の用途や好みに合った車種を選ぶことが大切です。