未来を駆動する複合サイクルエンジン
複合サイクルエンジンは、異なる種類の熱機関を組み合わせ、高い効率で熱の力を運動の力に変える、画期的な技術です。熱機関は熱を動力に変える装置ですが、一つの熱機関だけでは、どうしても利用しきれない熱が出てしまいます。そこで、複数の熱機関を繋げることで、熱を段階的に利用し、無駄を減らす工夫がされています。
複合サイクルエンジンでは、主に二つの熱機関を組み合わせています。一つは、ガスタービンです。ガスタービンは、高温の燃焼ガスで羽根車を回し、直接動力を得る装置です。もう一つは、蒸気タービンです。蒸気タービンは、高温高圧の蒸気で羽根車を回し、動力を得る装置です。これらの二つのタービンを繋げることで、より多くの熱を利用できるようになります。
具体的には、まず燃料を燃やし、その高温の燃焼ガスでガスタービンを回します。次に、ガスタービンを回した後の、まだ熱を持った排ガスを利用して水を温め、蒸気を発生させます。この蒸気は、ガスタービンから出る排ガスの熱を利用しているので、新たに燃料を燃やす必要がありません。そして、この蒸気で蒸気タービンを回すことで、さらに動力を得ます。
このように、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせ、高温の燃焼ガスから低温の排ガスまで、段階的に熱を利用することで、一つの熱機関だけでは得られない高い効率を実現しています。これは、熱エネルギーを無駄なく使う、まさに合わせ技と言える技術です。この技術は、発電所などで広く使われており、省エネルギー化に大きく貢献しています。