ブレーカーポイント

記事数:(2)

エンジン

忘れられた点火調整:ドエルアングル

車は、ガソリンと空気を混ぜたものに火をつけることで動力を生み出します。その火をつけるタイミングを細かく調整するのが点火装置です。昔は、この点火装置の重要な調整要素として「 dwell 角」(ドエル角)というものがありました。dwell 角とは、点火装置の中にある部品(ポイント)が接触している時間のことで、この時間が適切でないと、エンジンがスムーズに動かなかったり、十分な力が得られなかったりしました。 dwell 角の調整は、機械式の分配器を使っていた時代のエンジンにとって、とても重要な作業でした。 点火装置の中心には、イグニッションコイルという部品があります。これは、電気をためて高い電圧に変える装置です。そして、分配器は、この高い電圧をそれぞれの気筒(エンジンの部屋)に順番に送る役割を担います。dwell 角は、このイグニッションコイルに電気をためる時間を決めていました。dwell 角が小さすぎると、イグニッションコイルに十分な電気がためられず、火花が弱くなってエンジンの力が弱くなります。反対に、dwell 角が大きすぎると、イグニッションコイルやポイントが過熱してしまい、故障の原因になります。 しかし、現代の車では、コンピューターを使った電子制御が主流となり、機械式の分配器やポイントはほとんど使われなくなりました。電子制御によって、dwell 角の調整も自動で行われるようになり、私たちがdwell 角について意識することはなくなりました。dwell 角という言葉を知る人は少なくなりましたが、かつてはエンジンの調子を整える上で欠かせない要素でした。エンジンの仕組みや歴史を理解する上で、dwell 角は重要な知識と言えるでしょう。点火装置の進化の歴史を知ることで、現在のエンジンの技術の素晴らしさをより深く理解することができます。
エンジン

接触点:エンジンの点火を司る小さな巨人

自動車の心臓部であるエンジン。そのスムーズな動きを支える点火装置において、小さな部品ながらも重要な役割を果たすのが接触点です。まるで心臓の鼓動のように、正確なタイミングで電気の入り切りを制御し、エンジンの滑らかな動作を実現しています。 接触点は、配電器と呼ばれる装置の中に収められています。この配電器は、エンジンの回転数に同調して回転する回転軸と連動しています。この回転軸には、遮断器カムと呼ばれる部品が取り付けられており、カムの形状に沿って接触点が周期的に開閉動作を繰り返します。カム山が接触点を押すと接触点は開き、カム山から離れると接触点は閉じます。接触点が閉じている間は、点火コイルに電気が流れ込みます。そして、接触点が離れる瞬間に、点火コイルに蓄えられた電気が高電圧に変換されます。この高電圧は、点火プラグへと送られ、混合気に点火し、エンジンの動力を生み出します。 接触点の開閉タイミングはエンジンの回転数と密接に関係しています。エンジンの回転数が上がると、回転軸の回転速度も上がり、接触点の開閉頻度も増加します。これにより、より多くの電気が点火プラグに送られ、より強力な燃焼が実現します。逆に、エンジンの回転数が下がると、接触点の開閉頻度も減少し、燃焼も穏やかになります。このように、接触点はエンジンの回転数に合わせて点火時期を調整し、常に最適な燃焼を実現する上で重要な役割を担っています。 しかし、接触点は機械的な接点であるため、使用と共に摩耗や劣化が生じます。摩耗が進むと、接触抵抗が増加し、点火に必要な電圧が不足したり、点火時期がずれるといった不具合が発生することがあります。そのため、定期的な点検と交換が必要となります。近年では、接触点に摩耗が生じない電子式点火装置が主流となっていますが、旧式の車両では接触点の調整や交換が欠かせない作業です。まさに、小さな部品ながらも、エンジンの性能を左右する重要な役割を担っていると言えるでしょう。