ブレーキドラム

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車の構造

自動車部品におけるねずみ鋳鉄の活躍

ねずみ鋳鉄は、黒鉛が平たい粒状に散らばっている鋳鉄のことを指します。割れた面が灰色に見えることから、ねずみ鋳鉄と呼ばれています。一般的な鋳鉄であり、普通鋳鉄とも呼ばれ、様々な製品に使われています。 ねずみ鋳鉄には多くの利点があります。まず、錆びにくく、摩耗にも強い性質を持っています。これは、黒鉛が潤滑剤のような役割を果たすため、摩擦による損傷を減らすことができるからです。また、振動を吸収する能力も高く、振動による騒音や不快感を抑えることができます。 さらに、ねずみ鋳鉄は鋳造性に優れています。鋳造とは、溶かした金属を型に流し込んで固める製造方法です。ねずみ鋳鉄は複雑な形にも容易に成形できるため、様々な部品の製造に適しています。 このような優れた特性から、ねずみ鋳鉄は日常生活で使うものから、大きな機械まで、幅広く利用されています。自動車では、エンジンの重要な部品であるシリンダーブロックや、ブレーキの部品であるブレーキドラムなどに使われています。シリンダーブロックはエンジンの骨格となる部分であり、ブレーキドラムはブレーキをかける際に重要な役割を果たす部分です。 近年は、より高い性能を持つ自動車を作るために、ねずみ鋳鉄に改良が加えられています。クロムや錫、アンチモンなどの金属を混ぜることで、ねずみ鋳鉄をさらに硬く、強くすることができます。このような改良によって、自動車の性能が上がり、燃費も向上しています。ねずみ鋳鉄は、これからも様々な分野で活躍が期待される材料です。
機能

自動隙間調整:スラックアジャスターの役割

車は、安全に停止するためにブレーキを使います。ブレーキの主要な部品の一つに、遊び調整機と呼ばれるものがあります。遊び調整機は空気を使うブレーキにおいて、ドラムブレーキとブレーキライニングの間のすき間を自動的に調整する重要な役割を担っています。 ブレーキの効きやすさや止まるまでの距離は、このドラムブレーキとライニングの間のすき間の大きさに直接影響を受けます。すき間が適切でなければ、ブレーキの性能が低下し、安全な運転に支障をきたす可能性があります。遊び調整機は、ブレーキを踏むたびに、このすき間を自動的に調整することで、常に最適な状態を保ち、安全な運転を助けます。 もし、すき間が大きすぎると、ブレーキペダルを深く踏まなければならず、ブレーキの効きが悪くなり、止まるまでの距離が長くなってしまいます。これは、ブレーキペダルを踏んでも、ライニングがドラムブレーキにすぐに接触しないためです。急ブレーキが必要な場面では、特に危険な状態となります。 反対に、すき間が小さすぎると、ライニングが常にドラムブレーキに軽く接触している状態になり、ブレーキが引きずられる状態になります。ブレーキの引きずりは、車の動きを悪くし、燃費を悪くするだけでなく、ブレーキ部品の摩耗を早め、部品交換の頻度を増やすことになります。また、引きずりによる摩擦熱でブレーキの温度が上がり、ブレーキの効きが悪くなることもあります。 遊び調整機は、ブレーキペダルを踏む力をドラムブレーキに伝えるための重要な部品であり、すき間を常に適切な状態に保つことで、ブレーキの効きや燃費、部品の寿命に大きく関わっています。遊び調整機は、安全で快適な運転を支える、縁の下の力持ちと言えるでしょう。
駆動系

ブレーキドラム:縁の下の力持ち

ブレーキドラムは、自動車を止めるための装置の一部で、特に小型の乗用車や荷物などを運ぶ車、そして車を止めておくためのブレーキによく使われています。 ドラムブレーキは、車輪と一緒に回転する円筒形の部品で、主に鉄を溶かして型に流し込んで作られています。 見た目は太鼓のような形をしています。このドラムブレーキの中に、ブレーキシューと呼ばれる摩擦材が組み込まれています。摩擦材とは、摩擦を起こしやすい特別な素材のことです。 ブレーキペダルを踏むと、油の圧力を使ってこのブレーキシューをドラムの内側に押し付けます。すると、ブレーキシューとドラムの間で摩擦が生じ、回転する力が弱まり、車は徐々に止まります。自転車のブレーキを握ると車輪が止まるのと似た仕組みです。 ドラムブレーキには、自己効力作用と呼ばれる特徴があります。これは、ブレーキを踏む力がドラムブレーキ自身によって増幅される現象です。少ない力で大きな制動力が得られるため、効率的なブレーキシステムと言えます。 ドラムブレーキは、構造が単純で作るコストも安く済むという利点があります。部品点数が少ないため、整備もしやすいという特徴も持っています。また、水や泥などの影響を受けにくいため、様々な環境で使用できるという点も大きなメリットです。 一方で、ブレーキを連続して使用すると、ドラムの中に熱がこもりやすく、ブレーキの効きが悪くなることがあります。また、ドラムブレーキはディスクブレーキに比べて放熱性が悪く、制動力が低下しやすいという欠点もあります。そのため、高速走行が多い大型車などには、放熱性に優れたディスクブレーキが採用されることが多くなっています。