気になる車の異音、スティックスリップ現象を知ろう!
くっついたり離れたりを繰り返す動き、これが摩擦によって起こるスティックスリップ現象です。身近な例で考えてみましょう。例えば、車を止める時に使うブレーキ。ブレーキパッドとディスクローターという部品が擦れ合うことで車を減速させますが、この時にスティックスリップ現象が発生することがあります。キーという高い音が鳴ったり、ブレーキペダルに振動が伝わってきたりするのは、この現象によるものかもしれません。
なぜこのような現象が起こるのでしょうか。物を動かす時に働く摩擦の力は、物が止まっている時と動いている時で大きさが違います。止まっている時は静止摩擦力、動いている時は動摩擦力と言い、一般的には静止摩擦力の方が大きいです。この静止摩擦力と動摩擦力の差が大きいほど、スティックスリップ現象は起こりやすくなります。
ブレーキを踏むと、パッドとローターが強く押し付けられます。この状態では静止摩擦力が働いて、パッドとローターはくっついた状態になります。しかし、ブレーキペダルを更に強く踏むと、力が静止摩擦力を超え、ローターは動き出します。この時、動摩擦力が働きます。動摩擦力は静止摩擦力よりも小さいため、ローターは急に滑り始めます。すると、パッドとローターの間に働く力が小さくなり、再び静止摩擦力が優勢になってパッドとローターはくっつきます。このくっつく、滑るという動作が短い時間で繰り返されることで、振動が発生し、音や振動として感じられるのです。
スティックスリップ現象はブレーキ以外にも、タイヤと路面の摩擦、ワイパーとガラスの摩擦など、様々な場面で見られます。ワイパーがガラスの上でビビリ音を立てるのも、この現象が原因の一つです。この現象を抑えるためには、摩擦を起こす部品の素材を変えたり、表面を滑らかにしたり、潤滑油を使ったりといった工夫が凝らされています。自動車メーカーや研究機関では、より安全で快適な車を作るために、日々この現象の研究に取り組んでいるのです。