持続電流:エンジンの心臓部
自動車のエンジンは、ガソリンと空気の混合気に点火することで動力を生み出します。この点火の役割を担うのが点火プラグです。点火プラグは、高電圧によって火花を飛ばし、混合気に点火します。この火花放電を作り出す電気の流れの中に、「持続電流」と呼ばれる重要な要素が存在します。
点火プラグに電圧をかけると、まず瞬間的に非常に高い電圧が発生します。これは「容量成分」と呼ばれ、いわば混合気の中に電気の通り道を作る役割を果たします。この容量成分によって、電気の通り道ができると、次に持続電流が流れます。持続電流は、容量成分ほど高い電圧ではありませんが、比較的低い電圧を一定時間維持することで、火花放電全体のエネルギーの大部分を供給します。
例えるなら、焚き火を起こす時のように、最初に新聞紙などで勢いよく火を起こし(容量成分)、その後、薪(持続電流)で安定した燃焼を維持するイメージです。持続電流は、まさにこの薪のように、安定した燃焼を維持するために必要なエネルギーを供給するのです。
もし持続電流が不足すると、火花が弱くなり、混合気がうまく燃焼しない可能性があります。これは、エンジンの出力低下や燃費悪化につながるだけでなく、排気ガスによる環境への影響も懸念されます。逆に、持続電流が適切に供給されれば、安定した燃焼が維持され、エンジンはスムーズに回転し、燃費向上や排出ガス低減にも貢献します。つまり、持続電流は、エンジンの性能を左右する重要な要素の一つと言えるでしょう。