中空ハーフシャフト:軽量化の秘密
中空ハーフシャフトとは、軸の中心部分が空洞になっている駆動軸のことを指します。輪切りの断面を見ると、ドーナツのような形をしています。従来の駆動軸は、中身が詰まった棒状、いわゆる中実軸が主流でした。しかし、近年の自動車業界では、車の重さを軽くして燃費を良くするための技術開発が盛んに行われており、その中で中空ハーフシャフトが注目されています。
中空ハーフシャフトは、中心を空洞にすることで、材料の使用量を減らすことができます。これにより、軸全体の重さを軽くすることができ、燃費向上に貢献します。また、単に軽くするだけでなく、強度や変形しにくさを維持、あるいは向上させる工夫も凝らされています。中を空洞にすることで、外側の部分に使う材料を厚くしたり、より強度の高い材料を使用したりすることが可能になるからです。さらに、空洞部分があることで、衝撃を吸収する能力も向上します。路面からの振動や衝撃を空洞部分で吸収することで、乗り心地の向上にも繋がります。
この中空ハーフシャフトは、フランスの自動車メーカーであるプジョーの206という車種の、1.6リットルエンジンを搭載した5速式の手動変速機を持つ車に使われている変速操作の連結部品をはじめ、様々な車種で採用され始めています。今後、更なる軽量化と燃費向上が求められる自動車開発において、中空ハーフシャフトは重要な役割を担うと考えられます。特に、電気自動車やハイブリッド車など、環境性能に優れた車の開発においては、その重要性がさらに増していくでしょう。