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はんだの魔法:浸漬はんだ付けの世界

電子機器の土台とも言える、印刷された配線板。この板の上には、小さな電子部品がぎっしりと並んでおり、それらをつなぎ合わせるのが、はんだ付けと呼ばれる技術です。はんだ付けは電子機器作りには欠かせない工程で、中でも浸漬はんだ付けは、複雑な形をした部品や、たくさんの接合点がある板に最適な方法として、広く使われています。 まるで魔法のように、溶かしたはんだに部品をさっと浸けるだけで、複雑な回路が出来上がる、その仕組みを詳しく見ていきましょう。 浸漬はんだ付けは、まず、はんだを専用の釜で溶かします。そして、はんだ付けしたい部品や板を、その溶けたはんだの中にゆっくりと沈めます。この時、部品の表面や板の接合部分には、あらかじめ、はんだが付きやすいように薬剤が塗られています。溶けたはんだは、この薬剤がある部分にだけしっかりとくっつき、それ以外の部分には付きません。 部品をはんだから引き上げると、余分なはんだは自然と流れ落ち、必要な部分だけに薄い膜のように残ります。こうして、電気の通り道となる回路が完成します。 浸漬はんだ付けの一番の利点は、一度にたくさんの部品をはんだ付けできることです。また、複雑な形をした部品でも、全体を均一にはんだ付けできるため、品質が安定します。さらに、自動化しやすいという特徴もあり、大量生産にも向いています。 浸漬はんだ付けは、家電製品や携帯電話、自動車など、様々な電子機器の製造に使われており、私たちの生活を支える重要な技術となっています。