ベベルギヤ

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駆動系

車の駆動を支えるグリーソンギヤ

グリーソンギヤとは、アメリカのグリーソン社が開発した特殊な歯車製造機械、グリーソン歯切り盤によって作られる歯車の総称です。この歯切り盤は、高い精度で複雑な形状の歯車を作ることができるため、自動車の駆動系などで広く使われています。 特に、軸が交わる二軸間で動力を伝える歯車の一種であるかさ歯車の中でも、スパイラルかさ歯車やハイポイドギヤといった高度な歯車は、このグリーソン歯切り盤によって作られています。これらの歯車は、普通の歯車に比べて滑らかに回転し、高い耐久性を誇ります。自動車の静かで快適な走行は、グリーソンギヤによって支えられていると言えるでしょう。 スパイラルかさ歯車は、歯すじがねじれた形状をしているかさ歯車で、ハイポイドギヤは、二軸が交わらないかさ歯車です。これらの歯車は、グリーソン歯切り盤の高い加工精度によって初めて実現できる高度な歯車で、静粛性や耐久性、燃費の向上に大きく貢献しています。 グリーソン社は、歯車製造技術の先駆者として、常に新しい技術を追い求め、自動車産業の発展に貢献し続けています。その技術力は世界中で高く評価されており、多くの自動車メーカーがグリーソンギヤを採用し、高性能な自動車を生み出しています。グリーソンギヤは、目には見えないところで私たちの快適な運転を支える、重要な部品なのです。
駆動系

四輪駆動車の要、センターデフ

四つの車輪すべてを動かす車、いわゆる四輪駆動車は、前後どちらの車輪にも動力を伝えています。左右の車輪の速さの差を調整する装置である差動歯車をご存知の方も多いでしょう。しかし四輪駆動車の場合、前後の車輪の速さの差も調整する必要があるのです。これが中央差動装置の役割です。 車は曲がる時、外側の車輪は内側の車輪よりも長い距離を走らなければなりません。そのため、前後の車輪の回転速度に差が生じます。直進している場合でも、例えば片側の車輪が滑りやすい路面、もう片側が乾いた路面の上を走っている場合など、路面の状況が左右で異なることで回転速度の差が発生することがあります。 もしこの速さの差を調整しないとどうなるでしょうか?タイヤや動力を伝える仕組みに無理な力が加わり、最悪の場合、部品が壊れてしまうこともあります。中央差動装置はこのような問題を防ぎ、なめらかな走行を実現するために欠かせない装置なのです。 中央差動装置には様々な種類があります。粘性結合方式は特殊な油の粘度を利用して前後の回転差を吸収する方式で、構造が単純で耐久性が高いという利点があります。ビスカスカップリング方式も粘性を利用する方式ですが、より積極的に回転差を制御することができます。また、電子制御式はコンピューターで前後のトルク配分を制御する方式で、路面状況に応じて最適な駆動力を配分することができます。このように様々な方式の中央差動装置が、四輪駆動車の安定した走行性能に貢献しているのです。
駆動系

ベベルギヤ:車の駆動を支える縁の下の力持ち

ベベルギヤとは、円すい形をした歯車のことです。軸が交差している二つの回転体の間で、回転する力を伝えるために使われます。平歯車やはすば歯車のように歯が円筒状に並んでいるものとは違い、歯が円すい状に切ってあるため、軸が曲がっている場合でも動力をスムーズに伝えることができます。 自動車では、主にデファレンシャルギヤ(差動歯車)として使われています。デファレンシャルギヤは左右の車輪に回転力を分配する装置で、カーブを曲がるときなどに左右の車輪の回転速度に差が生じても、スムーズに走行できるように調整する重要な役割を担っています。例えば、右カーブを曲がるとき、外側の右車輪は内側の左車輪よりも長い距離を移動する必要があります。デファレンシャルギヤがあることで、左右それぞれの車輪に必要な回転数を調整し、スムーズなコーナリングを実現できます。 ベベルギヤはその形から傘歯車とも呼ばれています。傘を広げたような形に似ていることからこの名前が付けられました。普段目にする機会は少ないですが、自動車の駆動系を支える重要な部品の一つです。自動車だけでなく、様々な機械の中で、回転方向を変える、回転速度を変えるといった目的で使われています。例えば、工場の機械や、建設機械、農業機械など、動力伝達が必要な様々な場面で活躍しています。 ベベルギヤには、歯がまっすぐなもの(ストレートベベルギヤ)と、歯が螺旋状に曲がっているもの(スパイラルベベルギヤ)があります。スパイラルベベルギヤは、ストレートベベルギヤよりも静かで、大きな力を伝えることができるため、多くの自動車で使用されています。このように、ベベルギヤは、私たちの生活を支える様々な機械の中で、静かに、しかし確実にその役割を果たしている、縁の下の力持ちと言えるでしょう。