射出成形におけるボイド対策
射出成形やリム成形といった、溶かした材料を型に流し込んで製品を作る製造方法において、製品の内部に空洞ができてしまう現象、それがボイドです。ボイドは製品の品質に悪影響を及ぼす、見逃せない欠陥です。製品の表面に膨らみが現れたり、棒状の製品であれば中心部分に空洞が発生したりすることで、ボイドの発生を確認できます。まるで風船のように、製品の内部に空気が閉じ込められた状態を想像してみてください。
内部に空洞があると、その分だけ製品の肉厚が薄くなり、強度が低下します。これは、製品の耐久性を損なう大きな原因となります。例えば、本来であれば耐えられるはずの力に対して、ボイドのある製品は簡単に壊れてしまう可能性があります。また、空洞部分は外部から守られていないため、水分や異物が入り込みやすい状態です。これにより、製品の腐食や劣化が進行する危険性が高まります。例えば、金属製品であれば錆が発生しやすくなり、樹脂製品であれば変色やひび割れが生じやすくなります。
ボイドは製品の見た目だけでなく、機能や寿命にも深刻な影響を与えます。そのため、製造工程においてはボイドの発生を抑制するための対策が欠かせません。材料の温度や圧力、型の形状などを最適化することで、ボイドの発生を最小限に抑えることができます。また、製品の設計段階からボイドが発生しにくい形状を検討することも重要です。ボイドのない、高品質な製品を作るためには、製造工程全体における綿密な管理と継続的な改善が必要となります。ボイドは小さな欠陥のように思えますが、製品の信頼性に関わる重大な問題です。製造に関わる技術者は、常にボイドの発生リスクを意識し、高品質な製品を提供するために努力を続けなければなりません。