ポリマー

記事数:(2)

EV

未来を駆動する:リチウムポリマー電池

電気を蓄える道具として、今やなくてはならない電池。その中でも、近年注目を集めているのが「リチウムポリマー電池」です。この電池は、従来の電池とは異なる画期的な仕組みで電気を蓄えます。 従来の電池では、電気を伝えるために液体の電解質が使われていました。しかし、リチウムポリマー電池では、「ポリマー固体電解質」という固体の物質を用います。これは、複数の分子が鎖のようにつながった高分子材料に、塩を混ぜ合わせたものです。液体ではなく固体を使うことで、電池の構造も大きく変わります。 リチウムポリマー電池は、薄い膜を重ねた構造をしています。ちょうど、薄いパンに様々な具材を挟んだサンドイッチのような構造です。まず、負極にはリチウム金属の薄い箔とポリマー固体電解質を混ぜ合わせたものを使います。そして、正極には電気を生み出すもととなる活物質とポリマー固体電解質を混ぜ合わせたものを用います。これらの正極と負極を薄い膜状にし、電気が外に漏れないようにする絶縁体や、電気を集める集電体と共に層状に重ねていきます。 このサンドイッチのような構造のおかげで、リチウムポリマー電池は様々な利点を持っています。まず、薄くて軽く、形を自由に変えられるため、様々な機器に搭載しやすい点が挙げられます。また、従来の液体電解質を使った電池に比べて、液漏れのリスクが少なく、安全性が高いことも大きな特徴です。さらに、ポリマー固体電解質は電気抵抗が小さいため、エネルギー効率も良いとされています。 このように、リチウムポリマー電池は、材料と構造の両面から革新的な仕組みを持つ、次世代の電池として期待されています。今後、更なる技術開発によって、私たちの生活をより便利で豊かにしてくれることでしょう。
車の生産

車の構造を支える熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は、熱を加えることで硬化する性質を持つ樹脂のことを指します。この硬化は、一度硬くなると再び柔らかく戻ることはなく、不可逆的な変化です。 これは、熱によって樹脂の内部にある小さな粒のような分子が互いに強く結びつき、三次元的な網の目のような構造を作るためです。 この網目構造こそが、熱硬化性樹脂の優れた性質の秘密です。網目がしっかりと組まれているため、高い強度と硬さを示します。また、熱にも強く、高い温度でも変形しにくいという特徴があります。さらに、様々な薬品に対しても強い抵抗力を示し、簡単には劣化しません。これらの優れた特性から、熱硬化性樹脂は私たちの身の回りの様々な製品に使用されています。 例えば、電気製品の外側の覆いや、自動車の部品など、耐久性や耐熱性が求められる部分に多く使われています。一度形を作ると、その形を維持し続けるという性質は、製品の寿命を長く保つ上で非常に重要です。熱硬化性樹脂は、まさにその要求に応える材料と言えるでしょう。 一方、熱硬化性樹脂は再利用が難しいという側面も持ち合わせています。一度硬化してしまうと、再び溶かして別の形にすることができないため、廃棄物の処理には工夫が必要です。しかし、その優れた特性から、様々な分野で必要とされる材料であり、より環境に配慮した処理方法や、代替材料の開発なども進められています。