マルチスロットル

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エンジン

マルチスロットルバルブ:性能向上への道

車は走るために空気を取り込み、燃料と混ぜて爆発させることで動力を得ています。この空気を取り込む入り口が、いわばエンジンの呼吸器である吸気弁です。吸気弁を開閉する扉の役割を果たすのが絞り弁で、この開閉具合を調整することでエンジンに取り込む空気の量を制御しています。 通常、エンジンには一つの絞り弁しか付いていませんが、複数の絞り弁を備える技術が存在します。これが、多重絞り弁と呼ばれる技術です。一つのエンジンに対して、各燃焼室ごと、あるいは左右の気筒列(バンク)ごとなど、複数の絞り弁を配置します。 なぜ複数の絞り弁が必要なのでしょうか?それは、エンジンの吸気効率を高めるためです。一つの絞り弁の場合、全ての燃焼室に空気を送るために、空気の通り道が長くなり、空気の流れが乱れてしまうことがあります。一部の燃焼室には空気が多く流れ込み、別の燃焼室には少ない、といった不均一な状態が発生しやすくなります。 多重絞り弁を採用すると、それぞれの燃焼室の近くに絞り弁を配置できるため、空気の通り道が短くなり、各燃焼室へ均等に空気を送ることができるようになります。まるで、各燃焼室が専用の呼吸器を持っているかのように、スムーズに空気を吸込めるのです。これにより、燃焼効率が向上し、エンジンの出力と回転力(トルク)の向上につながります。特に、エンジンが高速で回転する領域では、その効果はより顕著に現れます。まるで、アスリートが十分な呼吸を確保することで、高いパフォーマンスを発揮できるようになるのと似ています。 多重絞り弁は、高性能な車によく採用されている技術であり、エンジンの性能を最大限に引き出すための重要な役割を果たしています。しかし、構造が複雑になるため、製造コストや整備の難易度が高くなるという側面も持っています。