マルチリンク式

記事数:(1)

車の構造

車の安定性支える縁の下の力持ち:トレーリングリンク

車は、路面の凸凹をタイヤで受け止めますが、その衝撃がそのまま車体に伝わると、乗っている人はとても不快に感じますし、車体にも悪影響です。そこで、路面からの衝撃をやわらげ、タイヤを路面にしっかり接地させるために、サスペンションという仕組みが備わっています。このサスペンションを構成する部品の一つが、トレーリングリンクです。 トレーリングリンクは、車軸と車体を縦方向につなぐ棒状の部品で、車体側の取り付け位置が車軸よりも前方にあります。この配置が、トレーリングリンクの大きな特徴です。車が発進・加速すると、車軸は後ろに動こうとする力が働きます。この時、トレーリングリンクが車軸の動きを後ろ向きに制限することで、車体の姿勢を安定させるのです。反対に、車が減速すると、車軸は前に動こうとしますが、ここでもトレーリングリンクがその動きを制限し、車体の沈み込みを防ぎます。 トレーリングリンクは、独立懸架式サスペンションの一種であるストラット式やマルチリンク式、そしてリジッドアクスル式サスペンションである4リンク式や5リンク式など、様々な種類のサスペンションで使われています。独立懸架式とは、左右の車輪が独立して動くサスペンションで、路面への追従性が高く、乗り心地が良いのが特徴です。一方、リジッドアクスル式は、左右の車輪が車軸でつながっているサスペンションで、耐久性が高く、悪路走破性に優れています。このように、トレーリングリンクは様々なタイプのサスペンションに組み込まれ、それぞれの特性に合わせた乗り心地や操縦安定性の向上に貢献しています。一見すると目立たない部品ですが、快適な運転を支える重要な役割を担っている、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。